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アングル:中国、豚肉高騰で飲食業界が窮地 代替メニューにも限界

[北京 4日 ロイター] - 中国東部の青島市で「ポークリブご飯」を提供するレストランを経営するCao Xianliさんは、この10年で最大の正念場を迎えている。豚肉価格高騰で昨年の仕入れコストが2倍になっただけでなく、看板料理に必要な豚肉をこの先十分に確保できるかどうか分からなくなっているからだ。

 中国では豚肉の値上がりを受け、食品全体の価格までおよそ8年ぶりの高い上昇率を記録。飲食業界は窮地に陥っている。写真は北京で9月撮影(2019年 ロイター/Tingshu Wang)

Caoさんはロイターに「心配なのはいつまで豚肉を買うことができるかだ。買えなくなれば、店を閉めざるを得ない」と語った。

世界最大の豚肉消費国である中国は、アフリカ豚コレラ(ASF)の猛威に見舞われたため、豚肉を通常の75%程度しか供給できない状況。つまり米国の全生産量に匹敵する約1350万トンが市場から消えてしまった。

こうした豚肉の値上がりを受け、食品全体の価格までおよそ8年ぶりの高い上昇率を記録し、飲食業界とともにベテランエコノミストを驚かせている。ノムラのルー・ティン氏らのアナリスト陣は10月のリポートに「過去1年でわれわれと市場は豚肉価格が跳ね上がるペースを過小評価していた」と記した上で、来年の物価上昇率を引き上げつつある。

<鶏肉にも影響波及>

豚肉価格高騰は、サプライチェーン全体に影響を及ぼしている。割高な豚肉から鶏肉に仕入れを変更する動きが出たことから、鶏肉の卸売り価格は1年前に比べて33%上昇。人気フライドチキンチェーンも蚊帳の外ではいられなくなった。

業界最大手KFCは今のところ、鶏肉価格上昇に伴うコストの大半をサプライヤーに負担してもらうことで、コスト上昇を10%未満に抑え込み続けている。親会社のヤム・チャイナ・ホールディングスの幹部は10月28日の電話会議でこう説明した。

KFCは、残りのコスト吸収のために鶏肉以外のメニュー数を増やし、鴨肉のサンドイッチやポルトベロマッシュルームのバーガーなども新規に投入している。鴨肉は中国で最も価格が安い食肉だ。また使用する鶏肉の部位をムネから手羽に変更してコスト圧縮を図っている。

同社は、来年も食品価格高騰という面で厳しい局面になると警鐘を鳴らしたが、消費者にコストの一部を転嫁することには「慎重になる」と表明した。

<客離れの不安>

数多くのより小規模な業者がひしめく食品出前セクターとなると、豚肉の値上がりや供給源に対処する方法はもっと少なくなる。

中国では今年になって豚肉輸入は確かに急増した。だが300万トンと見込まれる輸入量では、国内需要を満たすことはできないし、中国政府の冷凍肉備蓄もごくわずかだ。

Caoさんは「われわれに及ぶ影響は極めて大きい。売り物はポークリブ(の料理)だけだ。品ぞろえを拡大する余地はない」と話す。もっともCaoさんは約10%の値上げで1皿19元にした後も、何とか客をつなぎとめられている。「お客さんもほかに選択肢がないからやってくる。豚肉を買いに市場にいったところで、もっと安い品は見つからないだろう」と言う。

それでも販売価格引き上げによる客離れの不安を抱える業者もいる。北京に拠点を置く肉夾饃(中国式ハンバーガー)専門チェーン会社Xishaoyeは、小幅値上げが事業に打撃を与えた結果、再値下げを強いられた。

HSBCの消費者アナリスト、リハ・ヤン氏は「非常に競争の激しい市場だ。1桁台前半を超える料金引き上げは無理だ」と指摘した。

Xishaoyeは、豚肉の代わりに鶏肉や野菜を使った肉夾饃の販売促進も再開することなどで、客足が遠のくのを食い止める努力をしている。Meng Bing最高経営責任者(CEO)は、こうした取り組みのおかげで、傘下の43カ所のレストランの豚肉消費量は半減できたものの、今年の赤字はなお600万元強になるだろうと予測した。

Meng氏は「総コストの30-40%を原材料費が占める以上、原材料費が20-30%上がれば、赤字になる公算が極めて大きい」と説明する。

中国農業省は、来年終盤には豚肉生産が通常の80%程度まで戻るはずだとの見通しを示すが、他の多くの関係者によると、とりわけアフリカ豚コレラの感染がまだ広がっているだけに、農業省の考えは楽観的過ぎるという。

先月にいったん下落した豚肉価格は再び上げに転じており、高騰が早期に収まらなければ、もっと大きな企業でさえも重圧にさらされかねない。

(Sophie Yu記者、Dominique Patton記者)

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