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アングル:ドル調達コスト低下、円高と日銀の外貨資金措置で

[東京 29日 ロイター] - 為替スワップ経由のドル調達コストが、29日に低下した。主因はドル安/円高が進んだことに加え、日銀が外貨資金調達環境の安定のための措置を発表したことが影響したとみられている。

 7月29日、為替スワップ経由のドル調達コストが低下。ドル安/円高が進んだことに加え、日銀が外貨資金調達環境の安定のための措置を発表したことが影響したとみられている。ドル紙幣、米コロラド州で2009年撮影(2016年 ロイター/Rick Wilking/File)

この措置は、一部邦銀勢の間で「駆け込み寺」と受けとめられ、安心感が広がったとの声も聞かれ、遅々として進まない物価目標2%の達成と対照的に、即効性が出ている。

29日の為替スワップ取引では、円投/ドル転によるドル調達コストが3カ月物で136.68ベーシスポイント(bp)と、前日の150bpから顕著に低下。1カ月物でも、122.08bpと前日の135bp付近から低下した。

市場では、29日の短期の円投/ドル転スワップを介したドル調達コスト低下は、「ほぼ為替の円高による」(SMBC日興証券・為替外債ストラテジスト、野地慎氏)との見方が出ていた。

市場筋によると、ドル資金供給オペに関してはいわゆる「スティグマ」があり、応札することにより、カウンターパーティリスクが意識され、かえって市場でドルを取りづらくなる可能性がある。

一方で、日銀がきょう発表した追加緩和措置の影響を指摘する声もある。

日銀は29日、追加緩和措置の一環として、米ドル資金供給オペの担保となる国債の貸付制度の新設を決め、成長支援資金供給・米ドル特則の拡大として、最長4年でドル資金を金融機関経由で供給する制度を、これまでの120億ドルから240億ドルに増やした。

これらの措置は「中小を中心とする邦銀の外貨調達をサポートする効果が期待できる」と、三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部・主席研究員の廉了氏は言う。

米ドル特則の拡大は、チェンマイ・イニシアティブ(アジア地域の外貨資金融通ネットワーク)と同様の効果を持つと考えられ、割高なドル調達コストを強いられていた邦銀にとっては、心理的、実質的な効果を持つという。

ただ、本邦勢によるスワップ経由のドル調達コストの今後の見通しについては、低下を阻む要因も現れている。

短期金融市場では、ドルの3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)USD3MFSR=が28日に0.7515%まで上昇、7月月初からは9.8bpと2015年末以来で最も大きな上昇幅となっている。

3カ月物LIBORの上昇は、米証券取引委員会(SEC)が米プライム・マネー・マーケット・ファンド(MMF)に対して導入する新たな規制の影響が大きい。施行日は10月14日で3カ月物の期日をカバーする。

プライムMMFは、これまで欧米銀や邦銀など金融機関が発行するコマーシャルペーパー(CP)や譲渡性預金(CD)を運用資産として活発に購入してきた。

しかし、新規制では、プライムMMFの基準価格への変動制導入と、解約手数料の賦課・解約制限が設定されるため、プライムMMFから、規制対象外となる政府債MMFへ大量の資金シフトが発生している。

米銀からみれば、プライムMMFからの資金調達が困難になることを意味し、短期金融市場での資金調達の依存度が増すことになり、ドルLIBORには上昇圧力がかかりやすい。

このため、為替相場と同様に、為替スワップの原資産であるドルと円のLIBORの格差は拡大しやすく、スワップ経由のドル調達コストも上昇しやすい環境になっている。

森佳子 編集:田巻一彦

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