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アングル:ユーロ、来年の利上げ打ち消すECB総裁発言で低迷に拍車

[ロンドン 16日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁による直近の発言が、低迷するユーロに追い打ちをかけている。

ECBのラガルド総裁による直近の発言が、低迷するユーロに追い打ちをかけている。写真はユーロ紙幣。2017年11月、ウィーンで撮影(2021年 ロイター/Leonhard Foeger)

既に年初来でドルに対して7%余り下落していたユーロは15日、短期金融市場で想定されていた来年中のECB利上げシナリオをラガルド氏が実質的に否定すると、全面安の展開になった。現時点で引き締めに動けば、ユーロ圏の景気回復を腰折れさせるだけになる、と同氏は強調した。

これでユーロが置かれた立場は、利上げ観測に支えられているポンドやドルと正反対になった。イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は早ければ来月にも利上げするかもしれない。市場はFRBについては来年半ばの利上げを見込んでおり、今のところFRBからそれを強く打ち消すメッセージは出てきていない。

ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、ケネス・ブルー氏は「ECBが来年の利上げはないと言い続けている以上、落ちてくるナイフをつかむ(ユーロの押し目を拾う)意味などない。9月以降、ユーロの戻りは断固とした売りにぶつかってきたし、投資家はこのやり方を放棄していない」と述べた。

足元のユーロ/ドルは1.13ドル前後と1年4カ月ぶりの低水準で、ユーロは対ポンドでも新型コロナウイルスのパンデミック発生以降の安値で推移。スイスの政策金利はユーロ圏より低いにもかかわらず、スイスフランに対しても2015年に付けた安値に迫る水準となっている。

一方、ECBの次回理事会が開催される12月16日をまたぐ1カ月物のユーロ/ドルのインプライドボラティリティー(予想変動率)は過去24時間で1%ポイントも跳ね上がり、リスクプレミアムの増加がうかがえる。また3カ月物のユーロのリスク・リバーサルからは、コール(買う権利)のプレミアムがプット(売る権利)との比較で昨年5月以降最低に沈んだことが分かる。

投資家が予測する来年のECBの利上げ幅は12.5ベーシスポイント(bp)と、先週の20bpから低下した。

<備えなし>

ユーロに対する弱気ムードは、FRBが米経済の過熱を抑えるために利上げせざるを得ないという観測に起因する部分が非常に大きい。実際、16日に発表された10月米小売売上高は、物価が高騰している中でも予想を上回った。

UBSグローバル・ウエルス・マネジメントのマーク・ヘフェル最高投資責任者は、ドルが来年幅広く上昇し、ユーロは来年末までに1.10ドルになると想定する。

かたやユーロ圏では、物価上昇率がECBの目標である2%を上回っているものの、最近の新型コロナウイルス感染者急増が経済成長を下押しする恐れもあり、来年中の利上げは常にハードルが高いとみなされてきた。

シティが算出する経済サプライズ指数を見ると、欧米の経済指標はこの1年余りで米国の優位が最も顕著になっている。

それでも投資家は、ユーロがさらに弱くなる事態に備えていないように思われる。FRBが利上げを開始すれば、他の中銀も追随すると踏んできたからだ。

直近の週には通貨先物取引でヘッジファンドがユーロの買い持ちに転じ、買い持ち規模が14億ドルとなっていたことがデータで確認できる。ラガルド氏の発言でこの一部が解消されたかもしれない。

デリバティブ市場でも投資家はユーロ高を見越したポジションを構築し、今月末を期限とする行使価格1.15ドルのオプションの建玉が約70億ドルもある。

ただ米利上げ期待が強まれば、状況が変わってもおかしくない。来年12月が満期となる先物金利は米国のユーロ圏に対するスプレッドが昨年11月以降で最大になっている。バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズの月次調査によると、投資家が織り込んでいる来年のFRBの利上げは1.5回程度だ。

ラボバンクのFX戦略責任者ジェーン・フォーリー氏は、来年後半までにFRBが利上げに踏み切る可能性があり、それによってユーロが対ドルの値下がり分を大きく取り戻すのは難しくなるのではないかとの見方を示した。

(Saikat Chatterjee記者、Joice Alves記者)

*写真が正しく表示されなかったため、再送します。

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