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アングル:米金融市場に落ち着き、ジャクソンホール会議「波乱なし」との声

[シカゴ/ニューヨーク 26日 ロイター] - 米カンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)が目前に迫り、米連邦準備理事会(FRB)の債券買い入れ縮小(テーパリング)観測を巡る市場の「熱」がやや冷めてきた。パウエル議長は同会議で27日に経済見通しについて講演するが、投資家はパウエル議長がわざわざ波風を立てることは言わないとみている。

 8月26日、米カンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)が目前に迫り、米連邦準備理事会(FRB)の債券買い入れ縮小(テーパリング)観測を巡る市場の「熱」がやや冷めてきた。写真はワイオミング州ジャクソンホールで2019年8月撮影(2021年 ロイター/Ann Saphir)

ヌビーンのアンダース・パーソン最高投資責任者(CIO)は「市場や投資家は基本的に中立なスタンスでジャクソンホール会議を迎えようとしている」と述べた。

実際にテーパリングが始まっても、「テーパータントラム」と呼ばれる2013年のような市場混乱は起きないとの見方が一部から出ている。

ゴールドマン・サックスはリサーチノートで、今回はFRB高官が政策の変更について十分に情報発信していることから、市場の反応は2013年よりも小さいと予想した。

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ・ソリューションズのポートフォリオマネジャー、ジャック・ジャナシーウィクズ氏は「これまで常に無風という見方を取ってきた。FRBはしばらく前からテーパリングに言及し続けており、それを想定しないのは状況を理解していないということになる」と述べた。

為替市場は落ち着いている。ドイツ銀行のFXボラティリティ指数は歴史的低水準近くにある。

ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツのチーフマーケットストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「為替市場は居眠りモード」と指摘する。

米株オプション市場も同様。サスケハナ・インターナショナル・グルーのクリス・マーフィー氏は、トレーダーは総じてジャクソンホール会議への関心が低いと述べた。

分析会社ORATSによるとS&P500指数オプションは現在織り込んでいる27日の値動きは0.6%程度。ロイターの分析によるジャクソンホール会議でFRB議長が講演した日のS&P総合500種指数の値動き平均の0.63%と同程度となる。

債券トレーダーが予想する米国債の変動を示すICE・BofA・MOVE指数は5年平均を若干上回る水準。

ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのグローバル債券ポートフォリオマネジャー、ジェイソン・イングランド氏は、さらなるデータを入手し、テーパリングに関する確固として見解に近づくまで、米国債市場で大きな混乱は起こらないとの見方を示した。

ただし警戒する向きもいる。Tロウ・プライスの資本市場ストラテジスト、ティム・マレー氏は、大半のアセットクラスのバリュエーションが上昇していること、成長の減速、刺激策縮小への懸念から株式を若干アンダーウエートにしている。

野村のクロスアセットストラテジスト、チャーリー・マクエリゴット氏は25日にノートで、27日は米国債オプションが大規模な期日を迎えるため、国債市場が大きく動く可能性があると指摘した。

ピクテ・ウェルス・マネジメントのシニアエコノミスト、トマス・コスターグ氏は「パウエル議長はジャクソンホールで何か話さなくてはならなくなる。すでに地区連銀総裁の見解は聞いており、パウエル氏の考えを聞きたがっている」と述べた。

(Karen Pierog記者、Saqib Iqbal Ahmed記者)

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