May 15, 2014 / 6:13 AM / 4 years ago

焦点:ドル/円取引に「嵐の前の静けさ」、ボラティリティが過去最低

[東京 14日 ロイター] - ドル/円のボラティリティが過去最低を更新した。市場では「円安バブル崩壊の不気味な兆候」と警戒する見方がある一方で、投機筋を中心にリスクオンを仕掛ける「免罪符」として、もう一段の円安シナリオを描く向きもある。どちらの読みに軍配が上がるのか。レンジ相場が長期化するなか、「嵐の前の静けさ」として注目が集まっている。

<低ボラは円高の序章>

1カ月物のドル/円ボラティリティ(予想変動率)JPY1MO=ICAPは9日、2007年6月初旬の5.8%を下回って5.6%(ミッド・プライス)まで低下し、過去最低水準を更新した。現在も6%程度と依然、過去最低水準に留まっている。

通常、低いボラティリティは、市場参加者が平穏な状況の継続を予想していることを示す。しかし今、市場ではボラ上昇に対する警戒感がにわかに広がっている。「過去最低のボラが未来永劫に続くはずはなく、かならず反転上昇する」(金融機関)との見方からだ。

実際、07年6月にドル/円ボラティリティが急低下した直後、ドル/円は下落トレンドに入り、その後の2カ月間で10%、9カ月間で20%下落した。

ボラティリティは原資産価格(例えばドル/円)の変動率を予測したもので、その低下がドル/円取引の将来の方向性を示すわけでは必ずしもない。ただ、近年のドル/円相場では、ボラティリティが高まると予想される際には、円高方向へのリスク認識が強まるという傾向がでていた。

国内のある大手機関投資家は「ボラティリティが極端に低くなっているのは、流動性相場が行きつくところまで行った証拠だ」と指摘。昨年1年間に約23%上昇したドル/円相場の反落リスクを警戒する。

<過剰なリスクテークにも>  

反対に、市場には、低ボラティリティがリスクオン相場に動くための「免罪符」になるとの見方もある。市場関係者によれば「ボラの低下で、もう一度リスクオンの潮流が到来することを期待し、外資系証券の一角では、エマージング市場を買い推奨している」という。

実際、ドル/円相場のボラティリティの低下と同時に、リスク資産市場が活況となっている。米国株式市場は連日最高値を更新し、ジャンク債利回りは大幅に低下。欧州では周縁国の国債が買い進まれ、スペイン、アイルランド、イタリアの国債利回りは過去最低水準に迫っている。

著名投資家のジム・ロジャーズ氏は12日、ロイターとのインタビューで、米国債に対するジャンク債のスプレッドは縮小しており、他の種類の債券に比べて空売り対象として魅力的だとし、ジャンク債バブルの崩壊リスクを示唆した。

米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁も先月16日、FRBの超緩和的な金融政策を背景に投資家が過剰にリスクを取っている可能性を指摘、ジャンク債市場で投機的な動きが高まる可能性を懸念しているとした。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのジャンク債指数でみると、ジャンク債と米国債との利回りスプレッドは年初の298ベーシスポイント(bp)から200bp前後へと劇的に縮小している。

<超金融緩和がリスク感覚を麻痺>

世界的にリスク資産の上昇が持続する中、為替市場では、ボラ上昇が円高と結びつくという過去の事例にこだわらない見方も出てきた。今回は「円売り局面の再始動でボラが上がる可能性もある」(国内証券)のだという。

  しかし、バウポスト・グループの創業者兼社長、セス・クラマン氏は、「表面的には全てがのどかに見えても、現実には、バーナンキ前FRB議長、イエレン議長、ドラギECB総裁のフリーマネー政策が人工的に作り上げた平穏によって、われわれの感覚は麻痺し、迫りくるトラブルに鈍感になっている」と警告する。

シカゴ・オプション取引所がS&P500指数のオプション価格の情報を用いて算出するVIX(別名:恐怖指数).VIXは、12日に11.88まで低下し、4カ月ぶり安値をつけた。11%台のVIXはパリバショックの4カ月前の2007年4月にも観察されている。VIXは米国のみならず、グローバルな投資家のリスク回避姿勢を示す。

クラマン氏は「市場の弱気派が1987年以降で最も少ないのは不気味な兆候だ」と述べ、弱気派の著しい減少は、市場心理が反転する最も信頼できる指標だとした。

過剰なリスクオンの後には、急激な相場調整が待ち受けているのは歴史が示している。

東海東京証券のチーフエコノミスト、斎藤満氏は「現行水準のボラティリティは、超金融緩和相場に慣れきった投資家が、リスクに無頓着、無防備になっていることを表す」と指摘。

米国が量的緩和の縮小(テーパリング)に着手し、物価上昇を確信する日銀もいずれテーパリングを考えなければならない環境にあって、「2大大国が異常な金融緩和の修正に動けば、金融緩和が染みついた低ボラティリティもおのずと修正されるだろう」と予想している。

森佳子 編集:伊賀大記

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