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焦点:政府・日銀が市場動揺に警戒、「宝刀」出番うかがう展開も
February 9, 2016 / 9:28 AM / 2 years ago

焦点:政府・日銀が市場動揺に警戒、「宝刀」出番うかがう展開も

[東京 9日 ロイター] - 政府・日銀は、足元で鮮明になってきた株安・円高が、企業や個人の心理を慎重化させ、デフレ基調に戻るリスクが拡大することになるのか、警戒感を持って市場動向を注視している。

2月9日、政府・日銀は、足元で鮮明になってきた株安・円高でデフレ基調に戻るリスクが拡大することになるのか、警戒感を持って市場動向を注視している。東京証券取引所で撮影(2016年 ロイター/ISSEI KATO)

ただ、2016年度予算案を審議中で、日銀も1月29日にマイナス金利導入を決めたばかり。為替介入を直ちに実施する環境ではなく、すぐに切れるカードは見当たらない。追加緩和や介入の「宝刀」を温存しながら、機会をうかがうことになりそうだ。

<直ちに対策検討する段階でない>

9日の市場急変は海外要因がきっかけ。複数の市場関係者によると、欧州の金融株が利ざや縮小による収益悪化を材料に売り込まれ、それがNY市場に飛び火。

原油安による米エネルギー産業の信用リスクの高まりや、中国経済の後退局面入りの思惑なども悪材料視され、投資家のリスク回避姿勢が急速に強まった。

日経平均.N225は前日比900円超の急落を演じ、ドル/円JPY=EBSも1年3カ月ぶりに114円台のドル安/円高水準になった。

日銀によるマイナス金利導入や長期国債の買い入れ継続もあり、長期金利JP10YTN=JBTCは初のマイナス圏に突入した。

こうした市場の動揺を受け、政府・日銀は警戒感を持ちながら動向を注視していく方針だ。

ただ、2015年度補正予算は今年1月に成立したばかりで、16年度予算案は審議中。「政府が直ちに何らかの対策を検討している段階ではない」(政府筋)という。

別の政府筋も、市場動揺の発端が海外要因だけに「日本が率先して何か独自に新たな対応を行うという性格のものではない」とし、市場動向や海外当局の対応を見極めていく姿勢を示している。

<財務相がけん制発言>

こうなると、機動的に対応できるのは、為替介入と日銀の追加緩和に絞られるが、2つの手段とも、直ちに実行に移すのは難しそうだ。

ドル/円は、市場が政府・日銀の防御ラインと見てきた115円を確かに突破した。12月日銀短観で示された大企業・製造業の15年度下期の想定レート、118円から円高方向にシフトしている。

麻生太郎財務相は9日の閣議後会見で、市場を注視する意向を示すとともに「足元の動きが荒いのははっきりしている」と珍しく為替動向に言及した。

だが、ほとんどの輸出産業が採算ラインを割り込んでいたとみられる80円台と比べると、かなりの円安水準。今年のG7サミットで議長国でもある日本が、率先して介入に踏み切るには時期尚早との認識が政府部内には多そうだ。

また、足元の円高は、ドル安の色彩が強く、その根源には米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースをめぐる市場の思惑がある。当初の年内4回利上げの見通しは大幅に後退し、1─2回の観測が多数を占めるようになった。日本が仮に単独介入しても、効果は限定的という見方もある。

<市場に追加緩和観測>

    一方、日銀は黒田東彦総裁が3日の講演で、さらなるマイナス金利幅の拡大を含め、物価2%の目標の実現に必要となれば、量・質・金利の「3つの次元」で追加緩和措置を講じると強調。政策の逐次投入の解釈についても、政策変更の期間の長短とは関係ない、との認識を示している。

    だが、1月の日銀の追加緩和などの政策効果が実体経済に反映されるのはこれから。むしろ、市場変動の根本が海外要因にあるだけに、日銀内には追加緩和の効果をまず、見極めたいとのムードが強い。

    市場では9日の大幅な円高・株安の進行を受け、追加緩和の期待感が急速に広がり出した。SMBCフレンド証券・チーフマーケットエコノミスト、岩下真理氏は「もはや3月に何もしないということは考えにくい。前回日銀自身が『金利引き下げ』を選択肢に挙げていることもあるし、10─12月GDPが予想以上の大幅マイナス成長となれば、またマーケットがあわてふためく事態もあるだろう」と指摘。

    そのうえで「黒田総裁は、みなが考え付かないサプライズなことをやりかねないとみられている。マーケット関係者からみれば、それはありえないというような選択肢を実施してしまう可能性がある」と述べている。

    <宝刀温存しつつ、機会探る展開か>

    政府・日銀にとって、2月は機動的に動きにくい「空白」期間と言えそうだ。今回、世界的に金融株を売り、安全資産を買ってきた投機筋は、日本ではその空白のすきを突いて、株安・円高を予想外に進展させた格好だ。

    しかし、政府には「介入」という伝家の宝刀がある。日銀も黒田総裁が必要と判断すれば、追加緩和は「ちゅうちょしない」と繰り返し述べている。

    株安・円高の進展次第では「口先介入を強め、さらに実弾介入をにおわせ、円高をけん制するだろう。日銀もどこかで何らかの意思表示をするのではないか」(国内銀行の関係者)との思惑も出ている。

    政府・日銀は、切り札を温存しつつ、最も適切な時期を探ることになりそうだ。

    伊藤純夫、梅川崇、中川泉 編集:田巻一彦

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