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焦点:トランプ氏弾劾訴追は可能か、職権乱用の証明が鍵

[27日 ロイター] - 米民主党議員がトランプ大統領を弾劾訴追できるかどうかは、トランプ氏によるウクライナ大統領への働き掛けが職権乱用に当たると証明できるかどうかにかかっている、と法律専門家はみている。

 9月27日、米民主党議員がトランプ大統領を弾劾訴追できるかどうかは、トランプ氏によるウクライナ大統領への働き掛けが職権乱用に当たると証明できるかどうかにかかっている、と法律専門家はみている。.写真は大統領専用機エアフォースワンでアンドルーズ空軍基地に降り立ち、記者と話すトランプ氏。9月26日、メリーランド州で撮影(2019年 ロイター /Jonathan Ernst)

ホワイトハウスが先に公表した通話記録によると、トランプ氏はウクライナのゼレンスキー大統領に対して、来年の米大統領選の有力候補と目される民主党のバイデン氏に関する調査を要請した。米政権はさらに、トランプ氏がゼレンスキー氏にウクライナ支援の停止をちらつかせていたとする内部告発文書も公開した。

法律専門家によると、弾劾調査ではトランプ氏がゼレンスキー氏に対し、ウクライナ支援を材料にバイデン氏に関する情報提供を求め、国家の利益よりも個人の利益を優先したかどうかが焦点。隠蔽の証拠があれば弾劾訴追の可能性が高まるという。

ジョージタウン大ロースクールのルイス・マイケル・セイドマン教授は「米国はウクライナに国家安全保障上の利害を有しており、トランプ氏は政治的利益と引き換えに国家安全保障上の利害を危機にさらすようなことをしたように見受けられる。そうした事態が起きたかどうかが弾劾の核心だ」と述べた。

<「流れは完全に変化」>

民主党のペロシ下院議長は24日にトランプ氏の弾劾調査の開始を発表。民主党多数の下院(定数435)が単純過半数の218人の賛成で弾劾訴追を可決すれば、共和党多数の上院(定数100)が弾劾裁判を行い、大統領の解職には3分の2の賛成が必要だ。

合衆国憲法は「反逆罪、収賄罪その他重罪及び軽罪」を理由に大統領を解職できるとしている。

法律専門家によると、米国製ミサイルの提供を望んでいたゼレンスキー氏にトランプ氏が電話を掛けたことは、収賄規則や選挙資金法に抵触する恐れがある。

ただ、議員は弾劾調査において法律上の定義に厳密に従うよう義務付けられてはおらず、トランプ氏が個人的な利益のために権限を使ったかどうかについてより幅広く検討することができるという。

元連邦検察官のハリー・サンディック氏は「弾劾手続きにおいては当該の行為が犯罪か否かは問題ではない。外国に対して兵器と引き換えに選挙戦で醜聞となる情報の提供を求めることは職権の乱用であり、合衆国憲法の立案者はこうした行為は弾劾に相当すると確信していた」と述べた。

トランプ氏はゼレンスキー氏への要請は完全に適切であり、ゼレンスキー氏には圧力をかけていないと主張。バイデン氏は息子に関連する企業に対するウクライナ当局の捜査を止めようと不適切な行いに手を染めたとも指摘している。

バイデン氏が息子を助けるために副大統領としての立場を利用したという証拠はない。

ペロシ下院議長は28日、テキサスでのイベントで「人々の間で流れが完全に変化した」と指摘、「内部告発や検察官報告書、政権の無神経な態度により、米国民は今までと異なる決定に向かっている」と述べ、米世論は弾劾調査を支持する方向に傾いているとの見方を示した。

<弾劾の可能性、なお不透明感>

しかし、専門家の間にはトランプ氏の弾劾訴追は困難との見方もある。

司法省で法律の専門家として働いた経歴を持つデービッド・リブキン氏は、米国の法律に違反した疑いのある米国市民に対する調査を外国に依頼することは不適切ではないと指摘。「米国で政治を動かしている人物だからといって外国での調査を免れることも、免れ得ることもない」とした。

だが、ホワイトハウス当局者が介入してトランプ氏の通話記録を特別なコンピューターシステムに移したとする内部告発は隠蔽を示唆しており、弾劾訴追の可能性が高まったとの指摘もある。

コロンビア大ロースクール・センター・フォー・パブリック・インテグリティのエグゼクティブディレクター、ベリット・バーガー氏は、証拠隠蔽の可能性についての調査が進めば弾劾調査における証人の対象が広がり、議会に協力的な証人が表れるとの見方を示した。

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