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アングル:世界の株式、コロナで自社株買い急減でも供給不足

[ロンドン 16日 ロイター] - 株式市場の強気派は、有望な新型コロナウイルス感染症ワクチンの登場に欣喜雀躍している。米大統領選で民主党候補バイデン氏が勝利を確実として予測可能性の高い政権が生まれる見通しとなったことも、彼らにとってうれしいニュースだ。ところが、期待されていた株式需給の緩和だけは、実現する兆しが見えない。

 11月16日、株式市場の強気派は、有望な新型コロナウイルス感染症ワクチンの登場に欣喜雀躍している。写真は東京証券取引所。10月2日撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

新型コロナのパンデミック発生前までの、過去最長記録となった強気相場に一役買ったのは、10年にわたってネットベースで株式の新規供給が減少してきたことだった。一方パンデミック後は、企業が自社株買いを停止せざるを得なくなり、その代わりに株式発行によって財務基盤強化を図ろうとしているため、株式需給は逆に緩むと想定された。

実際リフィニティブのデータを見ると、世界の株式売り出しによる資金調達額は1-9月までで7億ドル強と大幅に増えたし、自社株買いは急減した。

しかし企業同士の合併・買収(M&A)とレバレッジド・バイアウト(LBO)が予想を超える規模に膨らみ、市場から浮動株を奪い去っている。この動きは今後も続きそうで、その場合、差し引きの株式供給減少の流れは止まらないだろう。

JPモルガンのアナリスト、ニコラオス・パニギルツォグロウ氏は「今年の早い頃には、われわれ全員は差し引きの株式供給が大きく増えると懸念していた。自社株買いが一気に落ち込み、株式売り出しが増加するとの理由だ。だがどちらかと言えば、株式供給は昨年の水準を下回っているように見える」と述べた。

上場廃止と自社株買いを除いた株式発行、つまり差し引きの新規供給は世界全体で1-10月に3200億ドル相当だった。パニギルツォグロウ氏はこのペースなら年間では3800億ドルになると見積もっており、昨年の4500億ドルに届かないし、同氏が6月に見込んでいた水準と比べると半分にすぎない。

米国の株式の差し引き新規供給は2014年以降で初めてプラスに転じたとはいえ、年初来でわずか80億ドルにとどまっている。同氏は「供給が低調な構図が変わると予想する根拠は何もない」と言い切った。

多くの投資銀行は、世界の株価が来年あと20-25%上昇すると想定している。世界経済の回復が主な理由であるものの、株式需給ひっ迫が解消されないことも押し上げ材料の1つにはなる。

<買収と自社株買い>

多くの見通しと同様、株式の需給動向の見通しも新型コロナワクチンがいつ実用化されるかに左右される面がありそうだ。つまり経済の見通しが明るくなれば、M&AとLBOは加速してもおかしくない。

リフィニティブのデータによると、既にプライベートエクイティ(PE)が主導するLBOは年初来で1580億ドル強と前年同期を6%上回り、M&Aも2兆9000億ドルで、急失速の見方を覆し前年比で10%減と踏ん張っている。

これは主要中銀の大規模緩和を背景にして、LBOに利用される高利回り債を含めて、借り入れコストが急低下しているという面も大きい。

アビバ・インベスターズのポートフォリオマネジャー、リチャード・サルダナ氏は「PEのディールが途切れることはなく、使える資金がそこにある以上、強固なバランスシートを持つ企業はディールを試みるだろう」と述べた。

逆に同氏の見立てでは、新規株式公開(IPO)こそ増加し続けるものの、資金を渇望して企業が複数上場する動きの爆発的拡大は収束するはずだという。

パンデミック前から政治家や規制当局から厳しい目を向けられていた自社株買いはどうなるだろうか。

JPモルガンのデータからは、今年の世界全体の自社株買い規模は約2500億ドルと、昨年の3分の1弱に減ったことが分かる。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによると、第2・四半期のS&P総合500種.SPX企業の自社株買いは887億ドル相当で、12年以降で最低水準だった。上位100社の自社株買い規模は直近でやや増えており、これはバークシャー・ハサウェイBRKa.NやマイクロソフトMSFT.Oといった資金豊富な大手による多額の発表分が反映されている可能性がある。

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのシニアアナリスト、ハワード・シルバーブラット氏の暫定見積もりでは、第3・四半期の自社株買いは1000億ドルに達する可能性があるが、上位20社の規模が全体の8割を占める「頭でっかち」の構図はこれまでと変わらないという。

(Sujata Rao記者)

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