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焦点:北朝鮮、コロナ禍と干ばつで食料不足が一段と深刻化か

[ソウル 12日 ロイター] - 干ばつの影響で元々切迫していた北朝鮮の食料不足が、新型コロナウイルスの感染拡大で深刻化する恐れがある――。専門家はこうみている。感染阻止のための全国規模のロックダウン(都市封鎖)で、干ばつへの対応や労働力の移動に支障が生じるためだ。

 5月12日、干ばつの影響で元々切迫していた北朝鮮の食料不足が、新型コロナウイルスの感染拡大で深刻化する恐れがある――。専門家はこうみている。写真は3月2日、植林の活動に参加する金正恩朝鮮労働党総書記(2022年 ロイター/KCNA)

北朝鮮は新型コロナのパンデミック発生から2年余りたった12日に、国内での感染拡大を初めて認め、「最重大の国家非常事態」を宣言し、全国的な都市封鎖を導入した。

折しも北朝鮮は干ばつとの「総力を挙げた戦い」を進めており、金正恩朝鮮労働党総書記はパンデミックと昨年の暴風雨で食料事情が逼迫していると警告していた。

国営メディアは先週、工場の労働者ばかりか事務職の労働者や政府職員までもが駆り出され、全国で農業関連施設の整備や水資源の確保を手伝っていると報じた。

干ばつや洪水は以前から季節ごとに北朝鮮を見舞う脅威になっており、大きな自然災害があれば、その閉鎖的な経済は一層の機能不全に陥りかねない。

コロナ禍の影響で既に通商や海外からの食料支援は、大幅に落ち込んでいた。北朝鮮は農業が人力に大きく依存している上に、産業や医療のインフラが不足しているため、コロナ危機で食料不足がさらに悪化する恐れがあるという。

韓国・慶南大学の林乙出教授は「北朝鮮は経済活動に多くの人の動きが不可欠であり、貿易や中国からの大規模な援助は見込めない」と話した。「今は農業活動が縮小され、肥料や原材料、設備の供給が難しくなる可能性がある」という。

国連の支援機関や他のほとんどの援助団体は国境封鎖が長引く中、北朝鮮から引き揚げており、現地がどれほどひどい状況なのか正確に把握するのは困難だとしている。

脱北者で北朝鮮人権活動家でもある韓国国会議員の池成浩氏は、医療システムが機能していないこともあり、新型コロナウイルスが急速にまん延してもおかしくないと指摘。国会で「コロナ禍は、この農繁期に大きな打撃を与える恐れがあり、今年と来年の食料確保は本当に深刻になるかもしれない」と述べた。

北朝鮮は兵器を開発したとして国際的な制裁を科され、貿易が広範囲にわたり制限されている。また、北朝鮮自体も新型コロナウイルスの侵入を防ぐため、2020年初頭に国境を封鎖した。

今年初めには国境をまたぐ貿易が再開し、かすかな希望が見えていた。しかし、4月に中国でコロナ感染が広がり、上海など大都市で非常に厳しい制限措置が導入され、中朝貿易はすぐに停止。衛星写真によると、陸上や港湾の施設では検疫のため数週間から数カ月間も荷物が動けなくなっている。

韓国の民間シンクタンク・世宗研究所の南北関係専門家、張成昌氏は、金総書記が市や県などのレベルでの封鎖を命じたことについて、ある程度の社会経済活動継続を確保するため、中国の徹底した対応と異なる、限定的な措置を取るのではないかとみている。

「ただ、時間がたてば地域間移動の不足が供給と生産に打撃を与え、最終的に深刻な食料危機や、最近中国で見られたような大きな混乱に直面するかもしれない」と付け加えた。

北朝鮮の気象当局は、月内は乾燥が続くと警告しており、国営メディアは12日、全国的な「干ばつとの総力戦」について改めて報じた。

国連は今年3月、北朝鮮の国際的な孤立が深まり、多くの市民が飢餓に直面している恐れがあるとして、国境を再開し、支援団体関係者や食料を受け入れるよう北朝鮮政府に求めた。

国連世界食糧計画(WFP)の推計では、北朝鮮は既にパンデミック発生以前の段階で全人口の40%余りにあたる1100万人が栄養不足に陥り、援助を必要としていた。

(Hyonhee Shin記者、Soo-hyang Choi記者)

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