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焦点:アフガンが再び過激派の「聖域」に、国際社会に警戒感

[18日 ロイター] - イスラム主義組織タリバンがアフガニスタンの政権を掌握したことで、アフガンが再び過激派らの「聖域」になるのではないか――。国際社会にはこうした警戒感が広がっている。

イスラム主義組織タリバンがアフガニスタンの政権を掌握したことで、アフガンが再び過激派らの「聖域」になるのではないか――。国際社会にはこうした警戒感が広がっている。写真はタリバンのメンバー。カブールで16日撮影(2021年 ロイター)

タリバンは、アフガンを決して他国攻撃の基地として利用させないと表明した。しかし専門家は、2001年9月11日の米同時多発攻撃を実行したアルカイダや、アフガンの隣国パキスタンなどで活動する幾つかの過激派組織とタリバンは今なお関係を持っていると指摘する。

例えばタリバン指導者の1人で最強硬派グループ「ハッカーニ・ネットワーク」を率いるセラージュッディン・ハッカーニ氏は、米政府から国際テロリストに指定され、拘束につながる情報提供に500万ドル(約5億5000万円)の懸賞金がかけられている。

スタンフォード大学国際安全保障協力センターで南アジアの安全保障問題を研究するアスファンディア・ミール氏は「ジハード主義者たちはタリバンの復権を大喜びし、感激している。南アジアから中東、アフリカに至る主要な過激派組織はこの事態を認識し、アルカイダ勢力はタリバン復権を自らの勝利と見なしている」と述べた。

アルカイダのほかにも、ソマリアのアル・シャバーブ、パレスチナ自治区のハマス、パレスチナ・イスラミック・ジハード(PIJ)といった組織がタリバンに対して祝意を伝えてきた。また米国など西側諸国と敵対しているイエメンの反政府武装勢力フーシ派は、アフガン情勢は外国による「占領」が必ず失敗に終わると証明したと強調している。

アフガンのタリバンとは別組織のパキスタン・タリバン運動(TPP)もタリバンとの連携に動くとともに、アフガン国内に収監されていた何百人もの構成員がタリバンの政権掌握とともに解放されたと明らかにした。

世界各国の指導者は、タリバンがアフガン全土を制圧して以来、穏健な姿勢を打ち出していることに懐疑的だ。ただ事情に詳しい一部の外交官は、タリバンが国際社会の承認と、できるならば開発支援を求めていると説明した。

タリバンのザヒブラ・ムジャヒド報道官は17日の会見で、アフガンが外国攻撃の基地として使われることはないと約束。「米国と国際社会には誰も被害を受けないと請け合いたい。われわれは自国領土をいかなる者の攻撃にも使わせない。内部であろうと外部であろうと、敵対者をわれわれは欲しない」と語った。

<うごめくIS>

国連安全保障理事会に先月、専門家が提出した報告書によると、アルカイダはアフガンの34州のうち少なくとも15州に拠点を築いている。過激派組織「イスラム国」(IS)も首都カブールをはじめ幾つかの州で勢力を拡大し、戦闘員を潜伏させているという。

ISはタリバンと対立しているものの、どんな混乱も足場強化のために利用したり、政権樹立に伴って穏健化するタリバンから離脱するよう強硬派戦闘員をそそのかしたりする可能性がある、と一部専門家や政府当局者は警鐘を鳴らす。

国連のグテレス事務総長は安保理に対して、「アフガンで国際テロの脅威を抑え込むためにあらゆる手段を駆使する」よう訴えた。安保理も、どの国も脅威を受けず、攻撃されない道を確保するにはアフガンでのテロとの戦いが重要だとしている。

事情に詳しい2人の関係者は、中国からの分離独立を掲げる東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)が最近何度かタリバンと協議していることに、中国政府が神経をとがらせていると明かした。

あるタリバン関係者はロイターに「中国側はわれわれに接触してくるといつもETIMの問題を持ち出す」と認めたが、中国に対してはタリバンが何らかの攻撃を許すことはないと保証したと付け加えた。

もっとも米政府の見解では、ETIMはもはや正式な組織として存在せず、中国は新疆ウイグル自治区におけるウイグル族などイスラム系少数民族弾圧の口実にETIMを利用しているのだという。

<パキスタンが試金石>

この問題を巡る最も明確なリスクは、パキスタンに関連するものだ。スタンフォード大のミール氏は、タリバンが過激派による攻撃の拠点にはさせないとの約束が本物かどうか最初に、手っ取り早い形で試されるのがTPPへの対応になるとの見方を示した。

同氏は「TPPはアフガン東部を足がかりにしてパキスタンでの暴力を拡大し、大がかりな作戦を準備しているようだ」と懸念する。

TPPは、アフガンの刑務所に入っていた元副指導者マウルビ・ファキル・ムハンマド氏を含む780人の構成員が解放され、アフガン東部の「強力な拠点」に向かったと発表した。

アフガンのタリバンは、この囚人解放に関するコメント要請に回答していない。

2014年にペシャワールの学校襲撃で140人以上(その大半は学生)を殺害するなど幾つかの凶悪な攻撃を行ってきたTPPは、その後鳴りをひそめていたものの、最近になって組織を再編し、国境付近の治安部隊への襲撃に乗り出している。

ブリュッセルのシンクタンク、欧州政策センターのアソシエートディレクター、ゲオルク・リーケレス氏は、アフガンのタリバンが国際社会から政権を承認されたいと考えており、過激派組織の拠点となるのを防ぐという約束を守ろうとする可能性はあると期待する。

それでもタリバンはその成功によって、イスラム過激派の英雄になったと指摘。「過激派や若者を引きつけ、刺激する神話を形成する要素がそろっている。つまり過激な宗教イデオロギーを掲げ、険しい山岳地帯で戦闘員が果敢に活動し、そしてまず旧ソ連の侵攻、次いで米国に対して軍事的成功と勝利を収めた。そうした構図は、われわれが学ぶべき教訓と備えるべき事態の一部分に当たる」と述べた。

(Charlotte Greenfield記者、Sabine Siebold記者)

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