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焦点:経済成長下での米国債利回り低下、株の配当狙いや新興市場債に脚光

[ニューヨーク 11日 ロイター] - 今年の初め頃はほどんど誰も予想していなかった夏にかけての米国債利回りの歴史的な低水準接近を受けて、一部投資家が配当狙いの株式投資や新興市場債などにシフトしている。インカムは得られる可能性があるが、投資リスクも高まる。

 7月11日、今年の初め頃はほどんど誰も予想していなかった夏にかけての米国債利回りの歴史的な低水準接近を受けて、一部投資家が配当狙いの株式投資や新興市場債などにシフトしている。写真は米首都ワシントンの財務省の建物。4月25日撮影(2021年 ロイター/Al Drago)

コロナ禍からの脱却期待や米経済の成長回復を背景にした米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢への転換にもかかわらず、米国債利回りは抑制されている。自国・地域の債券のリターンがゼロないしマイナスとなっていることに比べればましと考えた投資家からの需要や、一時人気だった米国債ショートの巻き戻しが影響した。いわゆる「リフレトレード」の先行きに疑念が生じている。

米10年国債利回りは9日に1.35%となり、3月に一時記録した1.77%をはるかに下回った。

コロンビア・スレッドニードルのシニア金利・通貨アナリスト、エド・アルフサイニ氏は「米国債利回りがすぐに反発することはないとみているため、他に資金を振り向けている」と語る。同氏が注目するのは住宅ローン担保証券(MBS)など。米国民の家計のバランスシートがコロナ禍の打撃から改善すると見込むためだ。iシェアーズのMBS特化型ETFは9日、利回りが1.88%だった。平均償還期間は4.9年。

フェデレーテッド・エルメスの上級ポートフォリオマネジャー、ドン・エレンバーガー氏は新興国市場債の投資比率を高めている。同氏は米国債利回りは低水準が続くと予想。消費者物価が上昇してもFRBがインフレの動きをどれだけ容認するのか、投資家が確信が持てないでいるとも指摘する。「株式市場は宴が続くとみており、米国債市場は米国の経済成長は頭打ちに向かっているとみている。今は見方が一致していない」と説明した。

<新興国市場>

エレンバーガー氏は、景気回復が広がればコモディティー産出国を中心に新興国市場が浮揚するとも見込む。iシェアーズのJPモルガン米ドル新興国市場債ETFは、9日の利回りが3.85%だった。リッパーのデータによると、このファンドは7日に終わった週に4億3000万ドル近い資産を取り込んだ形で、週間の増額幅としては4月初旬以来の多さだった。

ガベリ・アセット・ファンドのポートフォリオマネジャー、メロディー・ブライアント氏によると、米国債利回りの伸び悩みで魅力が増したのが配当型の株式。同氏は低金利下で成長株の妙味が高まると見込み、顧客管理ソフトのセールスフォース・ドット・コムなどの成長株を買い増したが、一方で、少なくとも過去25年間に年間配当を引き上げてきた農機ディーアなど配当成長株について、強気を維持している。

ブライアント氏は「キャピタルゲインが最大のリターン源だった時代は過ぎた。今や、配当がリターンの主力になる時代に入りつつある」と述べた。

アドバイザーズ・アセット・マネジメントの最高投資責任者、クリフ・コーソ氏が買い増してきたのは自動車メーカーの社債だ。魅力は高利回り。ゼネラル・モーターズ(GM)の2027年償還債は9日の利回りが2.1%だ。

一方で、ICEバンク・オブ・アメリカ・ハイイールド指数によると、ジャンク債の米国債に対する利回りスプレッドは8日が3.14%。1日には一時3.02%と、2007年7月以来の低スプレッドとなっていた。

コーソ氏によると、今回の国債値上がり以前に、既に利回りは「枯渇化」していた。「今は市場の流動性が豊富だ。たとえ米経済成長がこれ以上は頭打ちになるとしても、強さは十分だろう」と話した。

(David Randall記者)

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