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アングル:ツイッター、マスク氏との係争避け和解のシナリオも

[ウィルミントン(米デラウェア州) 8日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が米短文投稿サイトのツイッターの買収撤回を表明した。

 法律専門家はマスク氏のツイッター買収撤回表明について、契約履行を求めるツイッターの方が法的に有利な立場にあるものの、実際には長期の法廷闘争を避けるために再交渉か和解の道を選ぶ可能性があるとみている。写真はイメージ。4月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)

この件について法律専門家は、契約履行を求めるツイッターの方が法的に有利な立場にあるものの、実際には長期の法廷闘争を避けるために再交渉か和解の道を選ぶ可能性があるとみている。

ツイッターが訴訟を起こす予定のデラウェア州の裁判所はこれまで、買収する側の企業が契約を放棄することに高いハードルを設けてきた。しかし被買収企業は往々にして、何カ月もかかる面倒な法廷闘争を避けるため、再交渉に応じて買収価格の引き下げを受け入れたり、金銭的補償を求めたりと、確実な道を選ぶ。ロイターが取材した企業法の教授3人が明らかにした。

UCバークリーのアダム・バダウィ法学教授は「訴訟は高くつくため、少し安い価格で和解するのは理にかなっている。それに、これ(係争)は非常に面倒で割に合わない」と解説した。

ツイッターとマスク氏の広報担当者にコメントを要請したが、今のところ回答はない。

マスク氏の主な主張は、ツイッターがスパム(迷惑)もしくは偽アカウントの割合が5%未満だとする十分な根拠を示さないことが、契約違反に相当するというものだ。ツイッター側はこの数字を変えていないが、実際にはもっと高い可能性もあるとしている。

マスク氏は8日付のツイッター宛ての書簡で、スパムアカウント数の件が「重大な悪影響(MAE)」事例に相当する可能性があると指摘した。MAEに相当すれば、マスク氏は契約条件に基づき買収を撤回することができるという。

しかし法律の専門家によると、デラウェアの裁判所はMAEについて、当該企業の業績に長期的な悪影響を及ぼすような、劇的で予想外の事由と見なしている。今回のような買収契約は内容が非常に明確であるため、この種の訴訟でMAEが発動された事例は歴史上1回しかないという。独医療機器大手フレゼニウスが2018年、米後発薬大手エイコーンの買収を取りやめたケースだ。

この件でデラウェアの裁判所は、エイコーンが規制を順守しているとフレゼニウスに明言したのは不正確であった上、業績悪化の事実も隠していたとの判断を下した。

法律専門家は、ツイッターが不正確なスパムアカウント数を示すことが、この事例と同レベルでMAEに相当するとは考えられないとみている。

米トュレーン大法科大学院のアン・リプトン副学部長は「法廷闘争となれば、マスク氏はスパムアカウント数が単に間違っていただけでなく、ツイッターの今後の利益に重大な影響を及ぼすほど大きく間違っていたことを証明する義務がある」と述べた。

マスク氏はまた、ツイッターが契約で義務付けられているマスク氏の同意なしに主要業務を担う幹部社員2人を解雇したことも、契約違反だと主張している。

ボストン・カレッジ・ロー・スクールのブライアン・クイン教授は、「ある程度支持を得られる唯一の主張だろう」とした上で、ツイッターの事業に影響するほど重大な解雇ではないとの考えを示した。

<好まれない法廷闘争の不確実性>

大半のケースでは、裁判所は被買収企業に有利な判決を下し、買収する側の企業に「特定履行」と呼ばれる契約履行を命じる。

しかし多くの被買収企業は、従業員や顧客、取引先企業にとって重圧となり得る将来の不確実性と決別するため、和解の道を選ぶ。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が世界経済を揺るがしてからは、特にこうした事例が頻発するようになった。仏高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が米高級宝飾品大手ティファニーの買収撤回をちらつかせ、結局ティファニーが買収価格の引き下げに合意したのが一例だ。このほか、被買収企業が金銭的補償と引き換えに買収撤回を認めるケースもある。

(Tom Hals記者)

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