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焦点:失業率とインフレ低下の両立、FRB見解の鍵は労働参加率

[ワシントン 17日 ロイター] - 米国の直近の景気回復サイクルでは、回復初期から何年も経って失業率が4%を割り込むまで、労働参加率は上昇しなかった。米連邦準備理事会(FRB)幹部らはこのほど公表した経済見通しで、今回も同様のシナリオを見込んでいる。

 12月17日、米国の直近の景気回復サイクルでは、回復初期から何年も経って失業率が4%を割り込むまで、労働参加率は上昇しなかった。写真はケンタッキー州ルイビルのレストランに貼られた「スタッフ募集中」のポスター。6月7日撮影(2021年 ロイター/Amira Karaoud)

一部のアナリストは、FRBが15日に示した経済見通しの矛盾を指摘している。失業率は数年にわたり3.5%で推移する見通しとなっており、物価圧力がもっと高まってもおかしくないからだ。しかし最近の研究では、雇用が拡大してから労働供給が増えると長いタイムラグを伴って労働参加率が高まることが示されている。FRBの見通しは、この研究結果とは整合的だ。

FRB幹部らは、今回は労働参加率が急速に回復すると予想していたが、今のところそうなっていない。

しかし15日に公表された経済見通しには、労働参加率の上昇が織り込まれているようだ。そして労働参加率が上昇すれば、低い失業率とインフレ率の低下は両立し、政策金利は今後数年間、経済活動を抑制しない水準にとどめることが可能となる。

今回の連邦公開市場委員会(FOMC)声明からは、インフレは「一過性」との文言が消えた。しかし上記のシナリオでは、労働供給が増えて物価上昇を抑え、インフレは一過性の現象に終わるとの見方をFRBが維持しているようだと、ドレイフュス・アンド・メロンの首席エコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は言う。

元FRB幹部でもあるラインハート氏は「『一過性』という文言こそ使わなくなったが、彼らは一過性だと信じている」とし、「インフレ率を押し下げるのではなく、インフレ率が下がっていくのを見守る政策パスだ」と解説した。

FRBが低失業率とインフレ率低下を予想していることを踏まえると、幹部らは「労働参加率が高まってパンデミック前の水準に戻る」と予想しているようでもある、とラインハート氏は指摘。これは新たな労働者の流入により、賃金と物価の上昇が和らぐという見立てだ。

14、15日のFOMCは表面上、タカ派方向に転換したように見える。来年3回の利上げを示唆したからだ。物価上昇を抑えるために完全雇用の達成という約束を放棄したと読むことも可能かもしれない。

パウエルFRB議長は15日の記者会見で、今年のインフレ率の高さとしつこさに驚いていることを率直に認めた。

<労働参加率>

しかしパウエル氏は、別の点も明確にした。現在の物価上昇は予想されていた形とは「異なる」もので、未だにコロナ禍に由来する混乱が原因だという点だ。

こうした混乱の解消は長引いているが、いずれ解決するとパウエル氏は述べた。

労働参加率はコロナ禍当初に63.4%から60.2%に急低下し、昨夏に急回復したものの、今も62%を割り込んでいる。コロナ前のピークに比べ、労働者は約160万人減ったままということだ。

これらの人々は引退した可能性もあれば、健康の回復を待っていたり、育児のために待機したりしている可能性もある。

しかし、今年FRBの会合で発表されたエコノミスト2人の研究結果によると、「労働参加率サイクル」は、労働市場から離れた人の再参加ではなく、既に労働市場に参加しながらも度重なる失業に耐え、職探しを続けている人によって左右されている。

研究を行ったバート・ホビン、アイセグル・サヒン両氏は、この状態の労働者の増加が労働参加率に反映されるまでには、失業率の低下よりもずっと時間がかかると指摘している。特に今回は健康と育児という複雑な問題が絡むため、長時間を要する可能性があるという。

FRB幹部らによると、10年間続いた直近の景気回復が低失業率、賃金の上昇、インフレ抑制維持という望ましい状態に達したのは、労働参加率の上昇が一因だった。

FRBは今回の見通しで、米経済がそうした理想的な状態に戻ることも予想している。その結果、失業率は1950年以降のわずか15%の時期にしか達したことのない3.5%を維持できると見ているのだ。

パウエル議長は15日の記者会見で「経済が元通りになるには時間を要することを示す証拠が増えている。労働参加率にショックが起こり、それが多くの人の予想ほど速やかに解消していない」とした上で、「物価の安定と整合的な最大雇用の水準は、時間の経過につれて高まっていくだろう。例えば労働参加率の上昇を通じて」と述べた。

(Howard Schneider記者)

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