February 10, 2015 / 4:23 AM / in 5 years

焦点:国内のドローンビジネス「離陸」へ、政府も法整備に本腰 

[東京 10日 ロイター] - ヘリコプターのような複数のプロペラを持つ小型無人飛行機「ドローン」が、成長分野として国内企業の注目を集め出した。先行する米国では、今年中に商業利用に向けた指針がまとまる見通しだが、日本政府も成長戦略の一環として規制緩和や法整備に向けた検討に入るとみられる。

 2月10日、ヤマハ発動機がドローン事業の拡大に意欲を示している。写真は仏ブルゴーニュで昨年5月に開かれた無人機の会合でDJIファントムを飛ばす参加者(2015年 ロイター/CHARLES PLATIAU)

世界的に10兆円超の市場に成長すると見込まれるドローンをめぐり、国内企業の参入も加速し、本格的な「離陸」を迎えることになりそうだ。

<ヤマハ発社長「化けるかも」>

「ひょっとしたら化けるかもしれない」──。ヤマハ発動機(7272.T)の柳弘之社長はドローン事業の拡大に意欲的だ。同社は農林水産省から委託を受け、1987年に世界で初めて産業用無人ヘリを開発し、翌年から農業分野で本格的に販売を開始した先駆者。今では日本の水稲耕作地の約36%で、同社の無人ヘリが農薬を散布している。韓国や豪州にも投入し、国内外で約300機の年間販売実績がある。

すでに国内では存在感のある同社が、これから狙うのは米国だ。同国ではドローンの商業利用がまだ禁止されているが、米国連邦航空局(FAA)は今年9月をめどに運航ルールの制定を目指している。柳社長は「米国市場が開放されれば、すごく(事業規模が)広がる」と期待する。   

昨年5月には戦闘機「F―14トムキャット」などで知られる米軍事大手ノースロップ・グラマン(NOC.N)と提携した。ワイナリーなどでの農薬散布はもとより、国境での監視、石油精製施設の警備など事業の「アイデアはいろいろある」と述べ、米国での事業拡大に強く期待を寄せている。   

同国ではアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)やグーグル(GOOGL.O)などがドローンを使った「空の宅配サービス」計画を掲げ、強敵ぞろいだ。

だが、エンジンを自社開発しているヤマハ発は「ペイロード(積載重量)が大きい」(柳社長)のが強み。まずは実績のある農薬散布分野などに参入し、電動で動く軽量なドローンなどとのすみ分けも可能とみている。 

米調査会社ティール・グループの試算では、2014年に年間64億ドル(約7600億円)規模のドローンの世界市場は、向こう10年間で2倍近い115億ドル(約1.4兆円)まで拡大し、その次の10年間で約910億ドル(約11兆円)に成長する見込み。         

<人手不足解消、工事現場で活躍>

日本国内でも多くの業界が、ドローンに商機を見い出している。建設業界では東日本大震災後の復興、老朽化したインフラ刷新など需要は旺盛なものの、人手不足の問題が深刻化している。工事現場での労働力不足を解消するため、建設機械大手のコマツ(6301.T)は2月、ドローンを用いた新サービスを始めた。

通常は2人以上で行う現場の測量作業を、新サービスではドローンに搭載したカメラで上空から撮影し、画像をコンピュータに送信。地形の3次元(3D)データを作成するなどして自動化する。数カ月はかかる作業が10─15分程度で済む。

その後、ICT建機と呼ばれる自動化されたブルドーザーなどがデータに基づく作業計画に沿って穴を掘ったりするため、熟練作業員でなくても簡単に操作できるという。   

コマツは米サンフランシスコに拠点を置くベンチャー企業のスカイキャッチ製ドローンを今後数年間で約200機リースする計画だ。できるだけ早く新サービス関連売上高で100億円を目指し、ICT建機の導入数を現在の約350台から1―2年で1500台に増やす考え。   

<防犯、インフラ点検、災害時に>

警備大手のセコム(9735.T)は、商業施設や工場、倉庫などでの防犯用ドローンの開発を進めており、3月中に販売する予定。自動的に飛び立って敷地内に侵入した不審者を追跡し、撮影が可能。同社によると「顧客からの問い合わせは増えており、ドローンへの関心は高まっている」(広報担当の斎藤明日香氏)という。   

「いろいろ考えている」。複写機などで知られるリコー(7752.T)も、自社のカメラを活用する1つの手段としてドローンで何かできないかをリサーチ中だ。まだ、アイデアレベルで事業化を検討する段階にはないが、同社の大谷渉・新規事業開発センター所長は、カメラを搭載したドローンで「農作物の育成状態をモニターするという試みをやっている」と話す。

ドローン分野での第一人者である千葉大学の野波健蔵特別教授は、日本ではインフラ点検や東京五輪などでのドローン活用が想定され「爆発的に普及していく」との見方を示す。特に自然災害の多い日本で安全安心のために使うことが、1つの大きな市場になるとみている。        

<ルール作り、法整備が急務>

ヤマハ発の石岡修・UMS事業推進部長は、各社の参入でドローン市場が「活性化することは喜ばしい」と話す。ただ、「現在は登録や資格などの法制化も進んでいない。その中で参入企業が増えることに、多少の懸念はある」とも語る。  

ドローンが人や建物との接触事故、軍事転用、無断撮影といったプライバシー侵害なども引き起こす可能性があるためだ。米国では昨年来、ドローンがヘリコプターと接触するなどの事故が頻発。今年1月には、ホワイトハウスの敷地にドローンが墜落する騒ぎもあった。

日本政府の「ロボット革命実現会議」は1月、ドローンを含むロボットの技術開発や普及に向けて規制緩和や制度改革、ルール作りなどが必要などとする報告書をとりまとめた。

政府は成長戦略の1つとしてロボットによる新たな産業革命を掲げており、同会議の座長、野間口有氏(三菱電機 (6503.T)相談役)は、ルール整備や規制の「見直しの提言もしようという議論になっている」と話す。       

例えば、現在の航空法では航空機が有人であることが前提で、無人機に関する細かい規制がない。詳細な検討はこれからになるが、航空法改正ではドローンに認める飛行空域や高度などにルールを設けて安全面の確保を図るほか、遠隔操作のための新たな周波数帯割り当てなどを見込んで、電波法を見直すことなどが求められている。

白木真紀、笠井哲平 編集:田巻一彦

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