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世界的に株価下落、新型肺炎への懸念強まる:識者はこうみる

[28日 ロイター] - 27日は新型肺炎への懸念で世界的に株が売られ、米主要株価指数はいずれも1.5%超下落。原油価格も3カ月ぶりの安値を付けたたほか、人民元も年初来安値まで下げた。これを受け、28日の東京株式市場でも、 日経平均は安値圏で一進一退する展開となっている。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●SARS参考なら半年近く調整も

<三菱UFJモルガンスタンレー証券 チーフ投資ストラテジスト 藤戸則広氏>

今後の展開を見通す上で参考になるのは、2002年─2003年に猛威を奮ったSARS(重症急性呼吸器症候群)の時におけるマクロ経済と株価の経緯だ。当時は02年11月に発症が確認され、翌7月にWHOに封じ込め完了が宣言されたが、その前の4月にマクロ経済、株価ともにボトムアウトしている。これに沿えば、半年近くはアンダープレッシャーにさらされるとみることができそうだ。

小売り、航空、ホテルなど直接的にダメージを受ける企業だけではなく、中国に製造拠点がある日本企業も影響が避けられない。先行きが読み切れない材料であることが投資家を不安にさせるため、状況が的確に把握できるまで投資家も身動きが取れなくなるだろう。

日経平均で2万3000円前後は、値ごろ感から押し目買いやショートカバーが入るが、今回の調整は長引くとみるべきだ。

●単なる売りの口実、世界経済に影響及ばず

<JPモルガン・ファンズ(ニューヨーク)の首席グローバルストラテジスト、デビッド・ケリー氏>

27日の米国株式市場は大幅下落。中国で感染が拡大する新型コロナウイルスへの懸念で、ダウ平均は一時500ドル以上下げた。ニューヨーク証券取引所で昨年10月撮影(2020年 ロイター/Brendan McDermid)

何らかの調整が入って然るべき時期はとうに過ぎていた。米経済の成長は安定しているが緩慢となっている。一方で市場は目もくらむような速さで動いている。この2つの事象はある時点で1つに収束する必要があった。

相場はかなりの長期間にわたり良好に推移してきたため、市場は神経質になっている。新型コロナウィルスによる感染拡大は、売りを出す単なる口実に過ぎない。

現時点では世界的な経済成長率や企業決算などに有意な影響が及ぶとは考えていない。

●リスクオフ強まる、6月利下げ確率50%

<ナットウエスト・マーケッツの米州戦略部長、ジョン・ブリッグス氏>

感染拡大はこれまでの措置では流行を抑止できていないことのシグナルだと市場が恐れていることは明らかだ。株式相場全体や米金利でもリスクオフの動きになっており、市場では6月の利下げ確率が約50%、12月までの利下げは確実だと織り込んでいる。

●中期的には買いの好機

<インディペンデント・アドバイザー・アライアンスの最高投資責任者クリス・ザッカレリ氏>

投資家は問う前にまず売りを出す。株価下落は新型コロナウイルスの拡大に対する理性的な反応だ。

中国経済、そしておそらく世界経済は短期的に打撃を受けるだろう。

しかし、中期的には買いの好機であることが証明される公算が大きい。例えば、重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した2002年11月半ば─03年3月半ばには、S&P500は底を打つまでに12%下落した。しかしその後切り返し、同年を19%高で終えている。

*見出しと内容を更新しました。

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