March 31, 2015 / 10:13 AM / 4 years ago

アングル:AIIB参加表明見送りの日本、習主席訪米で思惑も

[東京 31日 ロイター] - 日本政府は、3月末が期限とされるアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加表明を正式に見送った。

 3月31日、日本はインフラ投資銀への参加表明を正式に見送った。写真は安倍晋三首相(手前)と中国の習近平国家主席。北京で昨年11月撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

しかし、不参加表明もせず、依然として中国の出方次第とする姿勢を崩さない。中国の習近平国家主席の年内訪米をにらみ、与党内には共同歩調をとる米国のスタンスが変質するのを警戒する声もある。安倍晋三首相は31日、自民党内での検討を指示。議論の動向次第で紆余(うよ)曲折の展開になりそうだ。

「中国が動かないかぎり、日本は動きようがない」──。ある政府関係者は、現時点も続く水面下での日中間交渉で、大きな進展はないと漏らす。政府は、AIIBの運営をめぐり、公正なガバナンスの確保などの問題点を半年前から中国に指摘してきた。

日中間の接触は事務レベルでは続けている。だが、「いまも正式な回答はない。参加するかどうかの判断以前に、最低限の議論にもなっていない」と、先の関係者は話す。

別の政府関係者は、日本が求めてきた理事会の常設には「中国側も軟化の姿勢を示してきた」と語る。

しかし、依然として「融資案件の審査や承認は事務局に『丸投げ』される可能性もあり、鵜呑みにできない。結局は『中国の中国よる中国のための組織』になりかねない」と、警戒姿勢を崩せない胸の内を明かす。

第一生命経済研究所の西濱徹・主任エコノミストは「(アジア開発銀行との)協調融資などの枠組みを使って(インフラ投資に)関与するやり方もある」と指摘する。

外交・安全保障上の問題も見逃せない。英国、ドイツ、フランス、イタリアと欧州の主要国がそろってAIIBへの参加を表明したことを横目に、外務省関係者からは「中国との経済関係の強化という実利を優先できるのは、(アジアから遠く離れた)域外国にとって人ごとだから」との声が漏れる。

対中国の軍事的な安全保障上の「脅威」という点では、欧州と日本では立場が異なる。自民党の小林鷹之・外交部会副部会長は「外交、安全保障上の観点からも米国と歩調をあわせる必要がある」と言う。

もっとも最悪なのが「米議会が承認しないとタカを括り、共同歩調が崩れるリスクも念頭に入れた対応を練っておかなければ、最終的に、日本が後手に回りかねない」(外交筋)という点だ。

日本の外交基軸は日米、日中関係そのもの以上に、米中関係が左右してきた経緯があり、ニクソンやクリントン訪中では日本が素通りされる状況に「ジャパン・パッシング」と騒がれた。「習国家主席は年内に訪米する。米中間の懸案を解消する外交カードに(AIIBを)持ち出され、日本の頭越しに参加を表明されたら、日本も入るしかない」と、前出の小林氏は語る。

<参加表明「6月以降でも」>

そもそも創設メンバーとして名を連ねるのに必要な3月31日までの参加表明について、政府内で深刻にとらえる向きは少ない。中国は、当初の期限だった14年10月を、日米欧などの主要国が名乗りをあげないことを理由に、うしろ倒しにした。

中国側は、現時点で参加表明を踏まえた政府間覚書(MOU)を3月に、設立協定(AOA)の交渉と署名を6月に設定しているもようだ。

だが、政府内には「習国家主席は15年末までに業務を開始するとしており、このデッドラインは動かないだろうが、3月末はおろか、6月までに参加表明しなければいけない必然性はない」との声がある。

安倍首相は31日に自民党の衛藤征士郎外交・経済連携本部長や秋葉賢也外交部会長と首相官邸で会い、同党内で日本のスタンスをめぐって活発に議論して欲しいと要請した。公明党の山口那津男代表は同日の記者会見で、「柔軟性をもって模索すべきだ」と述べ、参加に向けた調整の方向性をにじませた。

日本が参加する方向にカジを切るのかどうか、予断を許さない状況はしばらく続きそうだ。

*写真を差し替えて再送します。

梅川崇、吉川裕子、梶本哲史 編集:山口貴也

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