February 5, 2015 / 10:09 AM / 4 years ago

アングル:原田氏の日銀委員起用、追加緩和不要との政府見解反映の声

[東京 5日 ロイター] - 原田泰・早大教授の日銀審議委員への人事案提示について、BOJウォッチャーの間では、原油価格が下落している状況でさらなる追加緩和は不要との政府の立場と平そくがあったもの、との受け止めが浮上している。

 2月5日、原田泰・早大教授の日銀審議委員への人事案提示について、BOJウォッチャーの間では、原油価格が下落している状況でさらなる追加緩和は不要との政府の立場と平そくがあったもの、との受け止めが浮上している。写真は国会で答弁する黒田日銀総裁(左)。4日撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

市場では追加緩和の弊害が目立ってきているとの声も出ており、当面追加緩和は棚上げとの観測が市場で広がりつつある。

<追加緩和当面不要との政府意向を反映か>

原田氏は大胆な金融緩和を主張するリフレ派の論客とされ、従来の発言から、追加緩和手段として国債買い入れを重視しているとの見方もあるが、むしろ最近の発言で、2%の物価目標にとらわれず景気を重視すべきとの考え方をにじませている点に注目が集まっている。

市場関係者からは、リフレ派の原田氏が2%物価目標に柔軟姿勢を見せ始めた背景として「政府自身が、最近の原油価格下落の下で、過度な金融緩和で円安になることを是認しない姿勢を見せ始めていることと関連していると思われる」(バークレイズ証券・チーフエコノミスト・森田京平氏)との見方が浮上。「原田氏は原油価格が下落している現在の状況では、2%の物価目標水準に対して柔軟だ。日銀執行部より現在の政府に近いスタンス」(SMBC日興証券・シニアエコノミスト・宮前耕也氏)との見立てもある。

原田氏は、1月のロイターとのインタビューでも原油価格下落に関連して「2%目標を(2015年度に)達成できなくても良いのではないか。2%程度の(実質)経済成長が続けられるような政策運営が重要」と指摘。

このため「原田氏の起用は、日銀が政府と平そくを合わせて、物価目標をあいまい化する方向へ進むきっかけになる」(宮前氏)との見通しも出ている。

そうした過程で、黒田東彦総裁はじめ日銀執行部との間に、2%物価目標に関して相違が目立ち始め「物価安定目標の達成時期に関して、政策委員の間で差があることを市場が感じ取る機会はむしろ増えそうだ」(森田氏)との観測もある。

ある政府関係者も「10月末の追加緩和の際に、政策委員の賛否が4対5と割れた状況からみて、これ以上の緩和は難しくなるだろう」と見ている。

<追加緩和の可能性遠のくとの見方>

黒田氏の掲げる異次元緩和自体がすでに限界にきており、原田氏の就任にかかわらず、追加緩和は困難との見方も市場関係者の間では出ている。 

クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏は、 次の追加緩和の時期について従来見通しの今年春から、9月ないし10月へと修正した。その理由の1つとして、現行の「2年程度で2%インフレの達成」が失敗したことは今やほぼ明らかであり、レジーム・シフトが要求されているため、としている。次の緩和措置を決定するには、物価見通しが崩れたことを確認するまでのタイムラグや、政府の財政健全化の道筋を確認するための時間も必要だとみている。

大和証券・シニアエコノミストの野口麻衣子氏は「原田氏は黒田総裁や岩田規久男副総裁に基本的な考え方が近い人物として選ばれたのだろう」とみているが、これ以上の追加緩和に関しては「想定されるいくつかの政策オプションについて、期待できる効果より副作用のコストが上回る可能性の方が高まりつつあるように見える」と指摘。「いかなる新メンバーが政策委員に加わっても、政策運営の悩ましさは容易に解消しないだろう」 として、日銀が政策の壁に直面している状況に変わりはない、とみている。

中川泉 編集:田巻一彦

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