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アングル:ドル下落続く、機関投資家や「逆張り」個人も円買い 

[東京 7日 ロイター] - ドル/円JPY=EBSの下落が続いている。株価や原油価格が値を戻す局面でも、下げ足はに鈍さはみられない。

 4月7日、ドル/円の下落が続いている。株価や原油価格が値を戻す局面でも、下げ足はに鈍さはみられない。2011年8月撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)

海外勢を中心とした投機的なドル売り/円買いが強まるなか、国内勢もドル売りに傾斜。機関投資家だけでなく、逆張りで知られる日本の個人投資家「ミセスワタナベ」も、円売りの逆張り戦略を修正する動きが目立ち、参加者の多くが円買いに向っている。

<当局の足元見透かす投機筋>

ドルは5日、それまでサポートラインとなっていた年初来安値を下回ると、5日に心理的節目の110円、7日に109円の大台を一気に割り込んだ。110円割れからの円高進行は、ドル売りよりも円買いの側面が強い。

投機筋の動向を示すIMM通貨先物は、円ロングポジションが8年ぶりの高水準まで積み上がる状況だ。

本来なら「ドル/円相場は、目先の急反発を警戒しなければならない状況」(みずほ銀行・チーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)にある。それにもかかわらず、円高が進行しているのは「為替介入はできないと、当局が市場に足元をみられている」(国内証券)ためだという。

安倍晋三首相が米紙インタビューで「通貨安競争は絶対避けなければならない」とし、「恣意(しい)的な為替市場への介入は慎まなければならない」との認識を示したことが伝わって以来、日本が為替介入に消極的という見方が投機筋に定着。

菅義偉官房長官などが円高にけん制的な発言をしても、仕掛け的な円買いは止まらなかった。

<国内勢も円買いに抗えず>

投機筋の円買いを勢いづかせているのは、目先の円売り材料が乏しいことも背景にある。4月末の日銀決定会合で追加緩和の期待もくすぶるが、過去に「バズーカ」と言われたほどの爆発力を期待する声は市場では少ない。「やったとしてもサプライズ感は演出できず、やらなければやらないで失望感から円が買われる」(国内金融機関)との声も出ている。

最近まで「バイ・オン・ディップス」(ドルの押し目買い)のスタンスを維持していた多くのヘッジファンド勢は「完全に『戻り売り』のスタンスに変化している」(外銀)とされ、ドル/円のコアレンジが、110―115円から105―110円にシフトダウンしたとの見方も複数聞かれた。

投機筋のドル売り/円買いが勢いを増す中、国内勢もその流れに逆らえなくなってきている。

ドル買いの支えとして期待される輸入企業は、111円─112円付近でドルを調達した企業が多いとされ、110円付近では「値ごろ感があっても、すでにお腹が一杯で手が出ない」(国内金融機関)という。

109円前半に下落した局面では、値ごろ感から輸入企業の買いオーダーもあったが「(ドルの)地合いの悪さに、オーダーが引いてしまった」(国内銀)とされる。

一方、機関投資家の一部は、この局面で105―107円のゾーンでドルのプット・オプションを買い、ドル建て資産のヘッジに充てているという。

スポット市場では、こうしたオプションを受けた金融機関によるデルタ・ヘッジの売りがドルの上値を抑えている。

<ミセスワタナベも逆張りスタンスを修正>

複数のFX会社によると、個人投資家の間でも逆張りスタンスを修正する動きが強まっている。ドル買いを仕込む投資家がいるものの、下落した局面では損切りも出ており「従来はドル売りとドル買いが1対2だったところ、足元では1対1になってきているイメージ」(セントラル短資FXの市場部長・伊藤雅博氏)との指摘もある。

個人の建て玉は依然、買い建てが多いが、取引としては「機動的な人は早いうちから順張りのドル売りに動いてきている」と、外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏は指摘する。

さらにドルを売り遅れ、塩漬けとなっている個人のポジションも少なくないとみられている。「先行き下落が強まれば、こうした買いポジションの投げ売りが出て、ドル/円をさらに下押ししかねない」(別のFX会社)。

111円付近をレンジの下限と見て、押し目買いに動いていた投資家は多いとみられており、その損切りポイントは106─107円あたりだという。

従来ならば、ドルの下落局面では買いの平均コストを下げるための、いわゆる「ナンピン買い」が出やすいはずだが、足元では「逆張りの買いが目立たない」(楽天証券・FX本部リーダー、川田哲也氏)という。

マーケット・ストラテジィ・インスティチュートの金融・貴金属アナリスト、亀井幸一郎氏は「ドルが108円を割り込んだあたりでいったんは落ち着く可能性があるものの、ドルの反発力は基本的に弱く、徐々に下値を切り下げる展開になる」と予想している。

平田紀之 杉山健太郎 編集:田巻一彦

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