February 25, 2019 / 10:11 AM / 3 months ago

アングル:金融庁長官、節税保険に走った生保トップに苦言

[東京 25日 ロイター] - 中小企業の経営者を主な対象に、販売合戦が過熱した「節税保険」。これに対し、金融行政の事務方トップである遠藤俊英・金融庁長官が、販売主体の生命保険各社のトップに異例の「苦言」を放った。

 2月25日、中小企業の経営者を主な対象に、販売合戦が過熱した「節税保険」。これに対し、金融行政の事務方トップである遠藤俊英・金融庁長官が、販売主体の生命保険各社のトップに異例の「苦言」を放った。金融庁で2017年6月撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

背景には、超低金利の長期化や人口減で厳しさを増す収益環境の中で、生保トップが本来の保険商品とは言えない商品の販売に走ったことへのいら立ちがある。商品認可時に審査の対象にならない付加保険料が過大になっていたケースも判明し、金融庁の保険業界に対する不信感が高まっている。

複数の関係筋によると、遠藤長官は15日に開催された生保トップとの意見交換会で、法人向け定期保険について「厳しい収益環境の中でのトップライン維持のために、過去を顧みず、問題がある商品を販売するという姿勢はいかがなものか。経営のあり方として美しくない」と述べた。

いわゆる「節税保険」には、加入期間が一定期間を過ぎると保険金が段階的に増える「逓増型保険」などがあり、金融庁は企業の節税や財テクに使われていないか目を光らせてきた。

しかし、2017年ごろから多くの生保が法人向け定期保険の新商品を投入すると、中小企業経営者の死亡時の備えよりも、全額損金算入できる仕組みが強調されて販売が急増した。

遠藤長官は「認可申請時には経営者向けの保障商品と説明しながら、販売の現場では保障以外の部分が強調されている」と指摘。節税効果の強調は、保険の本来の意義とは異なるとの見方を示した。

そのうえで「申請時の説明内容と実態が大きくかい離しているなら、商品認可制度の意義さえ問われる」と話し、商品審査の透明性を高める方針を示した。

金融庁は、生保商品の認可の際、事前審査の対象外となっている付加保険料が合理的な説明がつかないほど高額に設定されていたことに問題意識を強めている。

金融庁は昨年6月、法人向け保険の付加保険料について実態調査を実施した。関係者によると、複数の生保で問題が見つかった。

具体的には、付加保険料のうち、契約の維持管理に充てられる予定維持費について、通常は保険金額の0.1―0.2%程度のところ、契約後期には20%を超えるケースがあった。また、人件費などに充てられる予定事業費が、契約後期に高額に設定されている例もあった。

今月半ば、国税庁が損金算入ルールを見直す方針を提示したことで、状況が一変し、各社は販売自粛に追い込まれた。

「低金利の持続で円建ての貯蓄性商品は売れず、外貨建て商品は競争が激化。生保各社はトップラインの維持が至上命題となっている。チキンレースとわかっていて節税保険から降りられなかったのは、突き詰めれば低金利環境が原因だ」(アナリスト)との声が出ている。

フィッチ・レーティングス・ジャパンの森永輝樹ダイレクターは「経営者向けの節税保険は、がんや介護など第三分野の保険商品に比べれば利ザヤが薄く、販売を自粛しても大半の生保の利益面へのインパクトは小さい。ただし、利益を伸ばすために節税保険の販売に依存していた一部の生保については、ある程度のネガティブ・インパクトは避けられないだろう」と指摘する。

金融庁は、ロイターの報道について「一般論として、保険含めた金融商品の適切な組成と募集は重要だと考えている」とコメントした。

和田崇彦 編集:田巻一彦

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