September 17, 2015 / 6:53 AM / 4 years ago

アングル:政府の携帯値下げ要請、物価上昇に影響も 市場も関心 

[東京 17日 ロイター] - 政府による携帯電話料金の値下げ要請を受け、日銀内の一部に波紋が広がっている。携帯料金は物価への影響が大きいため、日銀が目標とする2%の物価上昇実現が遠のく可能性があるからだ。

 9月17日、政府による携帯電話料金の値下げ要請を受け、日銀内の一部に波紋が広がっている。写真は日銀本店。7月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

一方、政府側からは「拙速な」物価上昇をけん制する声もあり、政府・日銀のスタンスにかい離があるのか、市場の関心を集めそうだ。

安倍晋三首相は11日の経済財政諮問会議で、高市早苗総務相の提案を支持するかたちで、携帯電話料金の早期値下げ実現を指示した。

政府・与党関係者によると、通信事業者3社の寡占により必ずしも使い切れない機能についても料金が組み込まれ、全体として割高になっている料金体系の是正が狙いだ。

この発言に関連し、黒田東彦総裁は15日の会見で、政府と日銀の間に「全くそごを来していることはない」と発言。政府・与党関係者の1人も、携帯料金の値下げにより「2%目標達成の方針に変化はない」と説明している。

背景には、携帯料金が下がれば可処分所得が増え、景気の拡大と緩やかな物価上昇につながるとの見方があるからだ。

だが、携帯料金は日銀が政策運営の目安とする消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)に占める割合が1万分の215(約2%)と大きい。

また、この料金は携帯3社が相次いで値下げした影響で2014年8月から前年比マイナスが続いている。今後はその値下げの影響が一巡し、コアCPIを下支えするとみられていた。

そこに首相指示に端を発した値下げが実現すれば、CPIの下支えから一転して下押しの効果を発揮しそうで、BOJウオッチャーの一部は、2%目標達成のハードルが一段と高くなったと見ている。

今のところ、日銀幹部は「そもそも、どの程度の値下げになるのかわからず、物価への影響は分からない」との見方で一致している。

ただ、一部にはCPIに占めるウエートが小さくなく、過去にも携帯料金の値下げでCPIの水準が下がった経緯もあるため、「当惑」の表情をにじませる関係者もいる。

一方、政府サイドの発言を振り返ると、物価上昇を急がないと言わんばかりの発言がジワジワと出てきていることが分かる。

甘利明経済再生相は今年1月、月例経済報告で物価目標達成をめぐり「できるだけ早期に」との文言を削除した理由について「厳格な(達成期限を)政府も日銀もコミットしていない」(1月27日会見)と発言。

5月8日の会見では「すでにデフレ状況ではない」と指摘した。8月には安倍首相が「原油が下落するな中で2%達成は難しい」と述べ、甘利氏も「将来にわたって、物価上昇を超えていく家計収入が見通せる状況を作っていくのが重要」(8月28日)と発言している。

市場関係者の間では「来夏の参院選を控え、地方票に悪影響のある一段の円安や、物価上昇を避けたいのが政権の本音」(大手証券関係者)との見方も出ている。

携帯料金の値下げを実質購買力の増加と見て、短期的な物価低下は原油値下げと同様に中長期的にはプラスと見るのか。それとも、コアCPIの大幅な下落は期待インフレ率の低下をもたらし、物価の基調に悪影響を与えると判断するのか。

物価をめぐる日銀幹部からのメッセージを注意深く見ていく必要性が一段と高まってきたと言えそうだ。

竹本能文 編集:田巻一彦

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