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アングル:政府試算の需給ギャップもほぼ解消、政策議論に影響か
May 23, 2014 / 9:45 AM / 4 years ago

アングル:政府試算の需給ギャップもほぼ解消、政策議論に影響か

[東京 23日 ロイター] - 日本経済の潜在的な供給力と需要の差を示す需給ギャップが、政府・日銀それぞれの試算で大幅に改善し、リーマンショック前の水準に近づきつつある。デフレ脱却が順調に進み、物価が上昇しやすくなりつつある。

 5月23日、日本経済の潜在的な供給力と需要の差を示す需給ギャップが、政府・日銀それぞれの試算で大幅に改善し、リーマンショック前の水準に近づきつつある。都内で2012年12月撮影(2014年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

デフレ脱却を主眼としている日銀の異次元緩和のあり方についても、中期的に議論を呼ぶ可能性がありそうだ。

内閣府が23日公表した1─3月期の需給ギャップはマイナス0.3%となり、昨年10─12月期のマイナス1.6%から大幅にギャップが縮小した。リーマンショック直後にはマイナス8.1%まで拡大していたが、ほぼ解消したと言える水準まで圧縮された。

需給ギャップには、複数の計算方法があり、内閣府は、労働と設備の平均的な投入量や潜在GDP(国内総生産)を推計し、実際のGDPとのかい離を需給ギャップとして計測。これに対して日銀は、労働と設備の稼働状況に関連する指標を用いて直接的に測定している。

日銀の試算では昨年10─12月期の時点で、需給ギャップはマイナス0.1%だった。ただ、同時期に内閣府試算のマイナス1.6%とかい離があった。

しかし、今年1─3月期について、日銀内ではプラスに転じるのは確実(7月に公表予定)との見方が出ており、需給ギャップの改善状況について、政府・日銀で認識をそろえることが出来そうだ。

4─6月期に消費増税の駆け込み需要の反動減で、どの程度需給ギャップが悪化し、7─9月期以降に改善するかどうかが今後の焦点となる。

日銀内では、人手不足による賃金上昇は継続するため、需給ギャップは4─6月期も大きく下がらず、プラス基調を維持するとの声も聞かれる。

日銀は5月21日の金融政策決定会合で声明文から、今年4月まで盛り込んでいた「15年近く近く続いたデフレからの脱却に導く」との文言を削り、一部の市場関係者から「事実上のデフレ脱却宣言」とも受け止められていた。

もっとも3月の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は前年比プラス1.3%で日銀が目標とする2%までまだ距離がある。

市場関係者の間では、今夏には円安が物価を押し上げる効果がはく落するため、コアCPIの上昇力が鈍化し、日銀が追加緩和を迫られる環境が整うとの声も少なくない。

一方、安倍晋三首相のブレーンである浜田宏一・内閣官房参与(イエール大学名誉教授)は、需給ギャップが解消した後は「潜在成長力が引き上がらないと金融緩和は物価上昇のみをもたらす」と、従来から指摘している。

金融緩和は需給ギャップの解消にこそ有用な政策であって、解消後はインフレリスクも留意すべきとの立場だ。

現時点の政府・日銀内で、インフレリスクを真剣に懸念する声は出ていない。だが、デフレ脱却後の政策運営について、現在の異次元緩和の強力な効果が継続することについて、その効果と副作用を冷静に比較衡量するべきとの声が、一部で出てくる可能性もある。需給ギャップと物価の動向は、今後のマクロ政策上の大きな論点に浮上しそうだ。

竹本能文 編集:田巻一彦

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