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アングル:ドル/円はつるべ落とし、リスク回避後退の兆し見えず
2016年2月9日 / 10:18 / 2年後

アングル:ドル/円はつるべ落とし、リスク回避後退の兆し見えず

[東京 9日 ロイター] - ドル/円JPY=EBSの下げが止まらない。市場で目先のレンジ下限とみられていた115円を割り込み、一時114円前半まで下落した。この後の節目は110円付近まで見当たらない「真空地帯」になる。

2月9日、ドル/円は市場で目先のレンジ下限とみられていた115円を割り込み、一時114円前半まで下落した。都内のトレーディングルームで撮影(2016年 ロイター/YUYA SHINO)

リスク回避ムード後退につながる材料も見当たらず、投機筋がドル売り/円買いに便乗しやすく、もう一段のドル下落への懸念もくすぶっている。

<節目割れでもくすぶる下値警戒感>

「節目を割り込んでも、達成感は出てきそうにない。いったん買い戻す動きが出たが、フォローの買いが続かない」──。午前の東京市場で、ドル/円が115円を割り込んだ直後、国内金融機関の外為ディーラーはため息まじりに語った。

支えになると期待された輸入企業のドル買いも、短期筋を中心とした売り圧力の前に飲み込まれた形だ。いったん節目を回復したドル/円は114円台に再下落し、するすると114.20円まで「つるべ落とし」状態となった。

複数のFX会社によれば、相場急落に個人投資家も翻弄された。前日ニューヨーク時間終了時点までのドル/円は、115円後半まで下落していた。個人投資家は買い建てを増やす一方、売り建てを減らしており「底値と見ていた節がある」(FX会社)というが、東京時間も下げの勢いは継続した。「底値と思って買ったものの、下げがきついため投げさせられるといった展開を繰り返す相場となった」(外為どっとコム総合研究所調査部長、神田卓也氏)という。

年初からの波乱相場は、原油安や中国経済減速への懸念が背景にあった。だが足元では、米国経済の減速懸念や金融機関の収益性低下への懸念が加わっている。

市場では、リスク回避緩和のきっかけがイメージしにくいとの声が出ている。このため、投機筋のドル売り/円買いに拍車がかかったもようだ。「一時的に相場が反発したとしても、リスク要因が解消する見通しが立たない限り、下値警戒感はくすぶる」(国内金融機関)という。

<長期安値なら円安に戻りにくく>

115円割れが長期化すれば、フローの面からも円安になりにくくなるとの警戒感も出ている。

市場でドル115円がレンジ下限とみられていたのは、企業が業績予想に用いる想定レートに着目していたからだ。当局は、想定レートを大きく下回る水準を容認しない、との見立てが背景にあった。

昨年12月の日銀短観では、大企業製造業の想定為替レートは15年度平均でドル119.40円だが、これを大きく下回る115円付近は「のりしろを見込んだ水準」(国内金融機関)と捉えられていた。

ドル先高/円先安観が出ていた昨年、輸出企業は為替予約をする必要がなかったが、これが反転すれば輸出企業によるドル売り/円買いの為替予約につながりかねない。「多くの輸出企業が注目していた水準」(邦銀)とされるトヨタ自動車の2016年1─3月期の想定レートは、ドル/円が115円。

この水準を割り込む期間が長くなれば「相場が115円に戻っても、実際のドル売り/円買いに頭を押さえられやすくなる」(国内金融機関)という。

<見えない反転の兆し>

下落歯止めのきっかけの一つと見られるのは、金融当局による政策発動だ。ただ、2月は日米欧の主要中銀で政策会合が予定されていない。

目先では10日にイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言が予定されている。三井住友信託銀行のマーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏は、足元の状況では米国の追加利上げに対して慎重なメッセージを出すしかないだろうとみている。

もっとも、市場の米追加利上げへの思惑が後退して株価が反転したとしても「米金利は上昇せず、ドルが125円の方向に戻していくのは難しい」(瀬良氏)という情勢だ。

政治的な国際協調があれば安心感も広がりやすい。今月はG20財務相・中央銀行総裁会議が予定されており、新生銀行の金融市場調査部長、政井貴子氏は「各国の強い決意が市場に伝わるような声明や要人発言が出るかどうかが重要」と指摘している。

ただ、開催は2月後半のため、スケジュール的にまだ間がある。

9日午前は、麻生太郎財務相や浅川雅嗣財務官などの相場動向に関する発言が伝わったが、下落の一方向に傾いていた市場の反応は限られた。やや落ち着いた動きとなった欧州時間に伝わった菅義偉官房長官の「市場の動きに注視したい」との発言で、ようやく国内勢と海外勢の両方から買い戻しが入り、115円台を回復した。

ただ、菅官房長官発言を受けた反発も「売られ過ぎの修正の口実になったにすぎない」(国内金融機関)との声が聞かれた。G20で共同声明などが出たとしても「口先だけと見透かされれば、火に油を注ぐ結果になりかねない」(別の国内金融機関)と警戒する声も出ている。

平田紀之、杉山健太郎 編集:田巻一彦

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