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コラム

コラム:アップル、派手な発表会の裏で進む「広告事業シフト」

[ニューヨーク 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米アップルは6日開幕した開発者向け年次イベント、世界開発者会議(WWDC)で新しい製品やサービスを鳴り物入りで発表した。ただ、いずれも時価総額2兆4000億ドル(約320兆円)のアップルに大きな影響を与えることはなさそうだ。実はアップルでは、こうした派手なイベントの裏で、もっと大きな変化がじわじわと進んでいる。広告業への浸透だ。

 6月7日、米アップルは開発者向け年次イベント、世界開発者会議(WWDC)で新しい製品やサービスを鳴り物入りで発表した。写真はアップルのティム・クックCEO。WWDC会場で6日撮影(2022年 ロイター/Peter DaSilva)

今年のWWDCの目玉はiPhone(アイフォーン)を使った購入の代金を建て替える後払いサービス(BNPL)や薬を飲むタイミングを知らせる服薬追跡機能などで、このほかに新たなプライバシー管理やiPad(アイパッド)で複数ユーザーが容易にコラボレーションできる仕組みなども公開された。

この中で最も重要なのはおそらくBNPLの「アップル・ペイ・レイター」だが、それも大した話ではない。アップルの金融サービスは、これまであまり強くなかった。バーンスタインによれば、2019年に導入されたクレジットカードの「アップル・カード」は、2021年の米国のクレジットカード取扱高に占める比率が0.5%に過ぎなかった。たとえアップルがBNPL分野で大化けしても、その成果は小さい。業界大手の一角を占めるアファームの評価額はたった70億ドルだ。

より大きなインパクトは、アップルが発表済みの変化からもたらされるのではないか。同社は近年、アプリのデータ収集方法をユーザーがより簡単に確認できる機能を公表し、ユーザーは自分の行動が追跡されるのを拒否できるようになった。その結果、こうしたデータを使い個人向けの広告を販売する企業は大きな打撃を受けた。米フェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズは2月、アップルのプライバシー規約変更で100億ドルの負担が生じるとの見通しを示した。

一方でこうした路線変更はアップル自体の広告販売に役立っている。 調査会社オムディアの推計によると、アップルの広告事業は昨年の売上が約40億ドルで、前年比200%以上の伸びを記録した。これはツイッターの広告収入、約50億ドルに比肩する。広告事業はおそらくアップルのサービス事業で最も急成長している分野だろう。1-3月期のサービス事業の売上高は前年同期比17%増加し、総売上高に占める比率は20%を超えた。

アップルはこれまで、広告市場はシェアが小さいとして、拡大ぶりを重視しない姿勢を見せている。確かに広告事業ではアマゾンやアルファベット傘下グーグルの方が、はるかに規模が大きい。アップルの広告事業の成長率が高いのは元の規模が小さく、モバイル広告市場が昨年27%成長したためでもあり、この点は割り引いて考える必要がある。

しかし企業が広告を販売する際にアイフォーンアプリのデータを活用することが難しくなればなるほど、アップルが抱え込んでいるユーザー情報はより貴重になるし、それは投資家にとって悪いことではない。

●背景となるニュース

*アップルの開発者向け年次イベント、世界開発者会議(WWDC)が6日開幕し、同社のスマートフォン「iPhone」向けの次期OS(基本ソフト)、独自開発した新設計半導体「M2」、フィットネス機能、後払い決済(BNPL)サービス「アップル・ペイ・レイター」などが公開された。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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