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焦点:アップルのSOMA地区拠点、人材獲得で「武器」となるか
2016年3月7日 / 09:39 / 2年後

焦点:アップルのSOMA地区拠点、人材獲得で「武器」となるか

[サンフランシスコ 3日 ロイター] - 米アップル(AAPL.O)の幹部らはこれまで長い間、カリフォルニア州の郊外にあるクパチーノの本社での勤務を従業員に求めてきた。しかしその姿勢も変わりつつあるかもしれない。

 3月3日、米アップルの幹部らはこれまで長い間、カリフォルニア州の郊外にあるクパチーノの本社での勤務を従業員に求めてきた。写真はアップルが新オフィス開設を準備しているサンフランシスコのサウス・オブ・マーケット(SOMA)地区(2016年 ロイター/Julia Love)

故スティーブ・ジョブズ氏と共にアップルを創業したスティーブ・ウォズニアック氏によると、同社は従業員を1カ所に集中させることで最高経営責任者(CEO)が「皆の徒歩圏内」にいることを可能にできたという。

しかしアップルは現在、サンフランシスコのサウス・オブ・マーケット(SOMA)地区に新たなオフィスを開設する準備を進めている。SOMAは将来性のある新興企業がひしめき合う地区で、賃料の高いことで知られている。

競合するグーグル(GOOGL.O)やリンクトインLNKD.Nなどは既に数年前にサンフランシスコに拠点を構えた。人材採用担当者やアップルの元従業員らは、本社から46マイル離れたサンフランシスコにオフィスを設置するというアップルの決定は、同社が従業員のニーズに対応する姿勢に変わりつつあることを意味していると話す。

アップルの新オフィス設置は、情報技術(IT)業界で優秀な人材の獲得競争が激化していることや、若い人材が都市での勤務を圧倒的に好む傾向にあることを示している。

シリコンバレーのライバル企業は人材獲得のために様々な「特典」を提供してきたが、アップルはその流れに乗ることはしていなかった。現在でも無料のランチは提供せず、通勤用シャトルバスの運行開始も他の企業から大きく遅れてのことだった。

「これまでのアップルの態度は常に、『アップルで働くということは特権だ。嫌なら、ここで働きたい人はそこらじゅうにいる』というものだった」と語るのは、同社の元従業員で現在は企業向けIT会社インクリングのCEOを務めるマット・マッキニス氏だ。しかし今では状況は変わり、優秀な人材確保のためアップルは他社と競わなければならないとの見方を示した。同氏はアップル勤務当時は毎日3時間かけて本社に通勤していたという。

<新オフィスの規模>

アップルのサンフランシスコでのこれまでの展開は、ビーツ・ミュージックやトプシー・ラブズなど、既に同市に拠点を置く企業の買収を通じたものが主だった。

サンフランシスコの新オフィスの大きさは約7万6000平方フィートで、500人程度が勤務できるという。グーグルやリンクトインなどと比較すると大きくはない。アップルは、本社のあるサンタクララ・バレーの従業員は2万5000人を超えるとしている。

不動産業界の専門家らは、アップルがサンフランシスコで賃貸したスペースは現在建設中で、入居が始まるのは夏の終わりあたりになるとの見方を示した。

<かつては想像できず>

2013年の報告書によると、サンフランシスコに住む同社従業員は14%と、サンノゼの25%に次いで2番目に多かったにもかかわらず、アップルがサンフランシスコにオフィスを置くこと自体、かつては考えられなかったと複数の元従業員は話す。

人材会社ミレミアム・サーチのアーミッシュ・シャー氏は、求職者の中にはアップルの「(本社への)集中化」を嫌う人もいると述べた。人材会社によると、サンフランシスコを拠点とするIT企業は増加しており、市民にとっては長い通勤時間を必要としない仕事の選択肢が増えているという。過去にアップルで採用を担当したホセ・ベニテス・コン氏は「高い競争性を維持し、最も優秀な人材を得たいのであれば、フレキシブルに対応しなければならない」と指摘する。

<クパチーノでの限界>

クパチーノでは拡大の余地がもうそれほど残されていないという点も、アップルの新拠点設置の理由である可能性がある。クパチーノ市の経済発展部門のアンジェラ・ツイ氏によると、同市のオフィススペースの約70%はアップルが使用している。アップルはクパチーノ周辺のサニーベールやノース・サンノゼにもオフィスを設置している。

オフィスが広くなったことで本社ならではの魅力が低下したと話す匿名の元従業員もいる。「以前は、本社で働く技術者であれば、カフェテリアに行けばスティーブ・ジョブズ氏が寿司を注文している姿などがみられたものだが、それは過去のことだ」と述べた。

共同創業者のウォズニアック氏は、チームを広げることで新たな創造性が生まれることがあると指摘する。最近のインタビューで同氏はかつて「集中化」に反対した人物が自身以外にはいなかったと話し、「チームにより独立した考え方を持たせるべきだと思った」と述べた。

Julia Love記者 翻訳:本田ももこ 編集:加藤京子

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