[26日 ロイター] - 米半導体大手クアルコムQCOM.OとアップルAAPL.O間の特許侵害を巡る訴訟で、米国際貿易委員会(ITC)は、1件でアップル側の主張を認める最終判断を下した一方、別の訴訟ではクアルコムの訴えに基づいて一部のアップル製品に対し法的拘束力のない輸入制限を勧告した。
クアルコムは自社の特許技術供与の慣行を巡るアップルとの大規模訴訟を4月半ばに控える中、両社の訴訟合戦における勝敗はほぼ互角となっている。
クアルコムはこの訴訟2件において、アップルのスマートフォン「iPhone」の7、8、XのインテルINTC.O製チップを搭載したモデルについて輸入禁止を求めていた。iPhoneは米国外で製造しているため、輸入禁止は米国でのiPhone販売を圧迫することにつながる。
両社は訴訟合戦を展開しており、アップルはクアルコムの特許技術供与の慣行が不公正であると主張する一方、クアルコムはアップルの特許侵害を非難している。
クアルコムとアップルは、コメントの求めに応じていない。
ニューヨークで特許を専門とする弁護士のガストン・クラウブ氏は、クアルコムのITCに対する戦略は、特許や独占禁止を巡りあらゆる訴訟で和解に達するようアップルに圧力をかけるため、販売禁止の脅威を利用することだと指摘。「クアルコムは、少なくとも何かを得たことで満足するだろう。ただ結局、今回の最終判断で、アップルはクアルコムからの攻撃をすべてかわし続けることができると勢いづくだろう」と述べ、「アップルの防衛戦略に影響が出るとは思えない」とした。
次の焦点は、クアルコムが端末メーカーへの特許ライセンス供与を巡り独禁法に違反した疑いで連邦取引委員会(FTC)により提訴された裁判の行方。こちらの方がより重要とみられている。
26日にクアルコムの主張を認める拘束力のない判断が下された後、アップルの株価は1%安、クアルコムは2.4%高で引けた。その後、アップルの訴えを認める拘束力のある判断が出たのに伴い、時間外取引でアップルは0.5%高、クアルコムは0.4%安となった。
*内容を追加しました。
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