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米アップルは税制改革で大きな恩恵、海外特許にはマイナス

 12月20日、米議会上下両院で可決されたばかりの米国の税制改革法案のおかげで、アップルは2523億ドルに上る海外保有現金を、高い税金を支払うことなく米国に持ち帰るという念願がかなう。写真はフランスのボルドーで2月撮影(2017年 ロイター/Regis Duvignau)

[20日 ロイター] - 米議会上下両院で可決されたばかりの米国の税制改革法案のおかげで、アップルAAPL.Oは2523億ドルに上る海外保有現金を、高い税金を支払うことなく米国に持ち帰るという念願がかなう。法人税率が35%から21%に下がるのも、同社には相当な追い風だ。

ただ、すべてがアップルの思い通りにいくわけではない。税制専門家は、米議会上院の原案と、最終的に可決された法案を比べると、アップルが海外で得る特許収入にかかる税率は実際には上がることになりそうだ、とみている。

アップルは、シンボルマークなどの知的財産や特許によって同社製品の価値の大半を作り上げ、特許で得た収入をアイルランドなど税率の低い国に移して利益を確保している。

ところが今回の税制改革では、一連の作業も意味をなさなくなる。タックス・ファウンデーションの調査エコノミスト、ギャビン・エキンス氏は、米国での特許保有者に対しては特許収入にかかる税率が21%から13.1%に引き下げられるため、海外での特許収入税率(13%程度)とほぼ同水準になる、と指摘。エキンス氏は「議会共和党は企業が知的財産をどこの国に保有するか検討する際、税率を決め手にしてほしくないのだ」と説明する。

ピーターソン国際経済研究所のゲイリー・ハフバウアー研究員は、減税でもアップルが「iPhone(アイフォーン)」の組み立てを米国内で始めることはないだろう、とみる。ただ、米国内の部品供給者にも減税の恩恵は及ぶため、それでアップルへの納入価格が下がればアップルからの発注が増える可能性もある。アップルは昨年、米国内の部品供給者に総額500億ドルを支払った。

米国では現在、企業が海外に保有する現金を米国に戻す際には15.5%の税率が適用される。一方で税制改革によって今後企業は米国内の利益に21%を支払い、海外で得た利益にも最低10.5%の税率が課されるが、通常は相殺されて追加課税はかからないケースが多いとみられる。15.5%の現行税率から試算すると、アップルは海外保有現金2523億ドルのうち、約391億ドルを支払う必要があった。

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