December 28, 2018 / 3:46 AM / 6 months ago

コラム:波乱に満ちた2018年、鍵となった「5つの出来事」

[17日 ロイター] - 2月の冬季五輪における韓国と北朝鮮の和解から、12月のすさまじい勢いのニュースラッシュに至るまで、2018年は意外な展開に事欠かなかった。

 12月17日、2月の冬季五輪における韓国と北朝鮮の和解から、12月のすさまじい勢いのニュースラッシュに至るまで、2018年は意外な展開に事欠かなかった。写真は、北朝鮮指導者の金正恩氏(左)とトランプ米大統領。シンガポールで6月撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

筆者が選んだ今年を特徴づける出来事を以下に紹介しよう。

●波乱の大富豪たち

2月6日、イーロン・マスク氏が率いる米宇宙開発ベンチャー企業スペースXの新大型ロケット「ファルコンヘビー」が、フロリダ州のケネディ宇宙センターから試験発射された。

ファルコンヘビーには、マスク氏が経営する電気自動車大手テスラ(TSLA.O)のスポーツカー「ロードスター」が積まれ、火星を目指す軌道に向かった。それは、テクノロジー業界から生まれた新世代の大富豪の影響力と野心を示す力強いメッセージだった。

だが全体としては、2018年はこうした大富豪たちにとって厳しい年となり、マスク氏もその例外ではなかった。

7月には、タイの地下洞窟に閉じ込められた12人の少年らを救出するため提供を申し出た小型潜水艇を巡り、救出にあたった英国人ダイバーと対立して世界の注目を集めた。これはマスク氏に関して厳しさを増す一連の報道の1つにすぎない。

フェイスブック(FB.O)創業者のマーク・ザッカーバーグ氏にとっても、良い年だったとはとうてい言えない。彼の会社は自ら招いた一連の不祥事に揺れ、政治的にも逆風に悩まされた。

また、グーグル(GOOGL.O)のサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は、米連邦議会で証言を求められたテクノロジー企業トップの1人だ。米中両政府へのピチャイCEOの対応など数々の問題に関して、同社は一部の従業員から反発を受けている。

一方、アマゾン(AMZN.O)創業者のジェフ・ベゾス氏に対しては、同社の労働条件や「税金逃れ」を巡る批判が高まっている。

だが、こうした状況のどれ1つとして、テクノロジー企業が続ける世界の根本的な「破壊」を終わらせる様子はない。実際、テクノロジー企業の創業者の多くは、世界の「破壊」を自らの使命だと考えているように見える。

特に人工知能(AI)や自動運転車などの新テクノロジーが変化を加速させるとすれば、2019年にはこうした争いがますます拡大すると予想される。

●統制強めるトランプ氏

2018年、1人の大富豪が米国の政治システムを迂回(うかい)する道を学んだ。それが、トランプ大統領だ。

一部の政権最高幹部らとの対立激化が報じられた後、トランプ氏は3月、ティラーソン国務長官、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)をクビにした。両者ともトランプ氏に対するブレーキ役とみられていたが、それぞれの後継となったポンペオ、ボルトン両氏は、大統領に疑問を投げかける傾向は弱いと考えられている。

12月にはケリー大統領首席補佐官が政権を離れ、マティス国防長官も退任を表明した。

全般的にトランプ氏は、政界主流派を基盤とするお目付役や共和党内部関係者の判断よりも、自分自身の判断を信じようとする志向を強めているように思われる。

●北朝鮮とロシアに秋波

6月のシンガポールでは北朝鮮指導者の金正恩氏、7月のヘルシンキではロシアのプーチン大統領となごやかに会談し、トランプ氏は自らの政権関係者の多くを驚かせた。

この2つの首脳会談における親密さは、やはり6月にカナダで西側同盟国を集めて行われたG7首脳会議とは好対照を見せた。G7でのトランプ大統領は、気候変動対策、保護主義、対ロ関係などのテーマにおいて、これまで以上に孤立しているように見えた。G7首脳は共同声明の採択に合意できず、米国以外の6カ国は、米国政府とは別に独自の声明を行う結果となった。

G7での出来事は、外交の舞台に広がる不安感を示している。11月、パプアニューギニアで行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に集まった世界各国の指導者は、またしても共同声明の採択に失敗した。今度は、中国と米国およびその同盟国とが貿易を巡って対立したためだ。

軍事的な示威行動も目立ってきている。この夏、ロシア、中国、北大西洋条約機構(NATO)はそれぞれ近年としては最大規模の軍事演習を実施した。南シナ海や欧州では軍用機、軍艦のにらみ合いも顕著に増加している。

●サウジ記者殺害

世界各地の専制国家は、反体制派と敵国の抑圧に少なくとも同じくらい力を入れているように見える。そのことが何よりも明白に露呈したのが、サウジアラビアのジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の事件である。

カショギ氏は、イスタンブールの自国領事館で殺害され、遺体は切断されたと報じられている。この殺害は国際社会の激しい怒りを呼び、サウジアラビア政府にある程度の外交的孤立をもたらした。だが、殺害の責任者とみられる人々からの誠実な謝罪は無きに等しい。

専制主義的な政府は、ますます人権を軽視し、批判者に対しても敵国に対しても露骨に過酷な行動をとるようになっている。

ロシアはシリアに残る反体制派の拠点に対して容赦ない軍事作戦を続けているし、サウジアラビア主導の連合国もイエメンでの戦争を継続中だ。民間人にも破滅的な犠牲を強いており、いまや数百万人が飢餓にひんしている。

中国はイスラム教徒の少数民族ウイグル族への弾圧を行っており、中国政府が最大100万人のウイグル族を「再教育キャンプ」に抑留していると、国連報告書は試算している。

こうした措置は、中国の習近平氏やロシアのプーチン氏といった独裁的な支配者が、見た目ほど自らの地位を安泰だと感じていない可能性を示唆している。さもなければ、彼らは権力を維持するためにそうした残酷な戦術が単に必要だと感じていることになる。

●パリ騒乱とG20

11月にアルゼンチンで行われたG20首脳会議は、今年行われた多国間会議の中で最も成功したものだろう。世界各国の首脳は、国際貿易の改革に関して、おおよそ無難な共同声明になんとか合意した。

ウクライナを巡る緊張とモラー特別検察官によるロシア疑惑捜査によってトランプ・プーチン会談が不可能になったとはいえ、トランプ氏と中国の習近平氏との会談によって米中貿易紛争は小康状態に入った。

それでも、不和の種には事欠かない。さらに、首脳会談が行われる一方で、パリでの騒乱が世界のメディアをにぎわせている。

アルゼンチンから帰国の途に就く西側諸国の首脳は、ほぼ全員が、政権の存亡に関わる政治的危機を抱えている。フランスのマクロン大統領は帰国後、「黄色いベスト」デモ参加者の要求の一部、特に燃料税問題について譲歩したが、騒ぎを鎮めるには十分ではなかった。

ドイツのメルケル首相は遠からず政界を引退することを示唆したが、次期党首に自らの後継者を指名する動きはある程度の成功を収めている。

ワシントンに戻ったトランプ大統領は、同氏の弁護士を務めていたマイケル・コーエン氏がモスクワでの「トランプタワー」建設プロジェクトについて議会への偽証を認めたことの余波に直面している。

英国のメイ首相はこれまでのところ、EU(欧州連合)離脱を巡る合意案に対する議会承認を得られないでいる。

こうした行き詰まりの多くは、西側諸国に見られる、もっとはるかに広範囲の危機、つまり貧富の格差拡大、そして多くの場合は最貧層の不満増大と困窮の深刻化に原因がある。こうした問題を解決するのは困難だろう。2019年、そしてそれ以降も、さらなる混乱は避けがたいように思われる。

 12月17日、2月の冬季五輪における韓国と北朝鮮の和解から、12月のすさまじい勢いのニュースラッシュに至るまで、2018年は意外な展開に事欠かなかった。写真は、メディアに囲まれるフェイスブックのザッカーバーグCEO。ワシントンで4月撮影(2018年 ロイター/Leah Millis)

*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

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