January 21, 2019 / 7:40 AM / 8 months ago

焦点:危機下のアルゼンチン、なぜペソ売り介入に転換したか

[ブエノスアイレス 18日 ロイター] - アルゼンチンは昨年急落した通貨ペソが年明け後に大幅反発し、中銀の対応が180度変わった。中銀はペソ高に歯止めを掛けるために過去1週間で1億9000万ドルのドル買い・ペソ売りの市場介入を実施したが、ペソ急伸には国内外の要因が絡んでおり、さらなる介入を迫られそうだ。

 1月18日、アルゼンチンは昨年急落した通貨ペソが年明け後に大幅反発し、中銀の対応が180度変わった。写真は同国紙幣。2018年8月撮影(2019年 ロイター/Marcos Brindicci)

昨年ペソの価値が半分に下がったことから、中銀はペソ安を食い止めるために厳しい金融引き締め策を導入した。しかしペソはこの1週間では上昇し、アルゼンチンが国際通貨基金(IMF)と合意した取引バンドの上限を超えた。

ペソの上昇は米連邦準備理事会(FRB)による利上げ観測の後退が一因。昨年は米国債利回りの上昇で新興国市場から資金が流出し、ペソも売られていた。

アルゼンチン政府がペソ相場安定のために昨年導入した金融引き締め策もペソの押し上げ要因となった。マクリ政権は昨年、スタンドバイ融資枠を563億ドルに引き上げるIMFとの合意の一環として、通貨供給量の伸びを凍結。ペソの入手が難しくなった国内の中小企業は、納入業者への支払いや従業員への給与支払い、納税に充てるペソを確保するために手持ちのドルを売らざるを得なくなった。

こうした国内外の要因を背景にペソは上昇し、10日に初めてIMFと合意した取引バンドの上限を突破。中銀は5日連続の市場介入に踏み切った。

ペソは17日には前日比0.56%安の1ドル=37.7ペソと取引バンド内に収まり、中銀は市場介入を見送った。

ただ、中銀は数日以内に再び介入を余儀なくされるのではないかとの声がエコノミストの間から上がっている。

コンサルタント会社エコゴーのディレクター、Martin Vauthier氏は「企業や家計はペソを手に入れるためにドルを売らざるを得ないためペソに上昇圧力が掛かっており、(中銀は)ドル買い(の介入)を続けるだろう」と述べた。

昨年のペソ安は経済混乱の種を蒔いたが、エコノミストによると、ペソ高も必ずしも良いことではない。ペソの下落はアルゼンチン製品の国外での価格競争力を高め、輸出の回復が期待されていた。

キャピタル・エコノミクス(ロンドン)で新興国市場を担当するエドワード・グロッソプ氏は「アルゼンチンはペソ安を必要としている。ペソ高が進めば、経常収支の赤字縮小に必要な対外的な調整が止まってしまう」と述べた。

オックスフォード・エコノミクスのシニアエコノミストのカルロス・デソーサ氏は、アルゼンチンは中銀が為替相場安定のためのドル買い介入の規模を1日当たり5000万ドル以下に制限しているため、ペソ相場を中期的に取引バンド内に抑制するには金利を引き下げる必要があると指摘した。

デソーソ氏は「中銀はマネタリーベースの伸びを認めず、市場介入は1日当たり5000万ドル以下に抑えると約束している。縛りが多すぎる」と述べた。

ただ、アルゼンチンは10月に大統領選を控えている。エコノミストによると、二期目を目指す企業寄りのマクリ大統領は厳しい戦いに直面しており、政治的な先行き不透明感が強まればペソは売り圧力にさらされる可能性もあるという。

(Cassandra Garrison記者、Gabriel Burin記者)

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