August 13, 2019 / 7:14 AM / 2 months ago

コラム:マクリ大統領の改革路線、アルゼンチン国民は成果待てず

[ニューヨーク 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - アルゼンチンで10月に予定される大統領選では、同国の近代史で幾度も繰り返されたポピュリズム(大衆迎合主義)が復活するかもしれない。11日の予備選挙では、野党ペロン党が推すアルベルト・フェルナンデス元首相が現職のマクリ大統領に予想外の大差をつけて首位に立った。市場経済重視とされるマクリ氏の政策は、国内にほとんど恩恵をもたらしていない。

 8月12日、アルゼンチンで10月に予定される大統領選では、同国の近代史で幾度も繰り返されたポピュリズム(大衆迎合主義)が復活するかもしれない。写真はアルベルト・フェルナンデス氏。ブエノスアイレスで11日撮影(2019年 ロイター/Agustin Marcarian)

フェルナンデス氏の得票率は48%。予備選の目的は候補者数を絞り込むことだけだが、10月の本選挙を占う手掛かりにはなる。フェルナンデス氏の副大統領候補はクリスティナ・フェルナンデス前大統領だ。

2015年12月に就任したマクリ大統領は、フェルナンデス前大統領の8年間、そしてその夫だった前職のキルチネル元大統領の4年半の治政を特徴付けた、放漫財政と保護主義からの決別を表明した。就任後は期間100年の国債発行に成功し、過去にデフォルト(債務不履行)を繰り返した同国に対する投資家の信頼を回復したほか、国際通貨基金(IMF)から現時点で440億ドルの支援を取り付けている。これは緊縮財政の影響から最貧層の市民を守ると同時に、自身の改革路線の基盤を固める狙いがあった。

しかし緊縮財政は今も、マクリ政権が抱える問題の大きな部分を占めている。補助金削減を含む伝統的な財政規律は、一般市民には受け入れ難い。経済はマイナス成長に陥り、6月のインフレ率は年55%に達し、ペソは大幅下落している。マクリ氏は、短期的な痛みを忍べば長期的には果実が得られると約束するが、有権者はしびれを切らしつつある。

マクリ氏が現在の任期を満了すれば、アルゼンチンが1983年に民政回復して以来、ペロン党以外の大統領として1期を満了した初の大統領となる。世界の投資家が左派ポピュリズム政権への回帰を恐れ、12日朝にペソ売りを浴びせたのは無理もない。株価は取引開始直後に10%下落し、債券も売り込まれた。

マクリ氏は4年前の大統領選予備選でも首位に立てなかったが、本選挙ではなんとか勝利した。それにペロン党が数十年も政権を維持できたのは、時代に応じて経済政策の色を変えてきたことが一因であり、両フェルナンデス氏が政権に就いたとしても、その政策は予想できない。しかし明確なのは、マクリ政権4年の恩恵を有権者に感じてもらうために残された時間はあとわずかで、1年2カ月間のIMF支援も、もう少しで終わるということだ。

●背景となるニュース

*11日のアルゼンチン大統領予備選で、現職マクリ大統領の緊縮政策に有権者がノーを突きつけ、10月決選投票での再選が危ぶまれたのを受け、12日に同国債券は下落した。

*99%開票された時点で、野党候補のアルベルト・フェルナンデス氏はマクリ氏に15.5%ポイントの差を付けて48%を得票した。

最近の世論調査ではこの差が2─8%にとどまると予想されていた。

*予備選結果を踏まえると、フェルナンデス氏は10月本選挙の第1回投票で勝てるだけの支持を集めており、11月の決選投票にもつれこむことを回避できそうだ。本選挙では、45%以上を得票するか、もしくは40%得票しかつ2位候補と10%ポイントの差があれば第1回投票で勝利が確定する。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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