May 8, 2018 / 6:57 AM / 2 months ago

コラム:アルゼンチン緊急利上げ、通貨安に歯止めかかるか

[ニューヨーク 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ブエノスアイレスを訪れる旅行者は、ドルを持参しているからこそ簡単に心を奪われてしまう。だがアルゼンチンの現実は、観光目線の牧歌的風景とは比べものにならないほど厳しい。

 5月7日、ブエノスアイレスを訪れる旅行者は、ドルを持参しているからこそ簡単に心を奪われてしまう。だがアルゼンチンの現実は、観光目線の牧歌的風景とは比べものにならないほど厳しい。写真はブエノスアイレスで4日撮影(2018年 ロイター/Marcos Brindicci)

3月までの1年間の物価上昇率は25%を超え、通貨ペソのドル交換レートはこの10年間で7分の1程度に落ち込んだ。過去にきちんとした金融取引をしてこなかったつけが回り、中央銀行は4日に政策金利を40%に引き上げざるを得なくなったが、これによってとりあえずペソ安には歯止めが掛かった。

アルゼンチンは1816年の独立以降、何度も債務不履行に陥ってきただけに、外国人投資家のみならず国民も疑念を抱くペソの信用を取り戻すためには依然としてなすべきことは多い。その意味で、8日間で政策金利を12.75%も引き上げた今回の利上げは物価上昇を抑え込む意思を示すとともに、金融政策に政治は影響していないとシュトルツェネッガー中銀総裁が証明して見せたのだと言える。

ペソは4日と7日に安定して推移し、シュトルツェネッガー総裁の通貨防衛は成功した。また総裁の強硬な姿勢は、マクリ大統領が進めるアルゼンチン経済正常化に向けた各種措置と合致し、物価抑制はこうした政策の一部を成している。

2015年に大統領に就いたマクリ氏が推進してきた経済立て直しは、海外投資家から高く評価され、その一環として昨年発行した100年国債も順調に消化された。債務不履行を繰り返したアルゼンチンの歴史を踏まえれば、100年債の販売実現はマクリ氏の一際優れた功績に数えられる。

政府も4日、中銀の動きに呼応する形で、財政赤字の対国内総生産(GDP)比目標の引き締めを発表した。しかし歳出の急激な引き締めは、これまで恩恵を受けていた人々からは評判が悪い。予想外の利上げなど他の要因が重なればマクリ氏の政策に対する抵抗は強まるだろう。フィッチ・レーティングスは4日、アルゼンチンの格付け見通しを「ポジティブ」から「安定的」に引き下げ、理由として高い物価上昇率や経済の不安定さとともに「政治的逆風」を強調した。

マクリ氏とシュトルツェネッガー氏が引き締め路線を堅持できるかどうかの鍵となるのは、海外投資家の動向だ。各種データによると、新興国市場ファンドへの資金流入はこの数カ月で減少している。こうした動きが新興国市場の循環的な低迷の始まりであるならば、彼らの取り組みはかなり困難になるだろう。

●背景となるニュース

・アルゼンチン中銀は4日、政策金利を6.75%引き上げて40%とした。利上げは4月27日以降3度目で、この間の利上げ幅は12.75%となった。

・アルゼンチンペソは5月3日だけで8%近く下げていたが、中銀の追加利上げを受けて急伸した。

・アルゼンチン政府も財政赤字の対国内総生産(GDP)比目標を従来の3.2%から2.7%に引き締めた。

・中銀は、今年の物価上昇率を目標の15%に抑えるため、利用可能なあらゆる手段を活用し続けるとの声明を発表した。しかし3月の前年比物価上昇率は25.4%に達しており、民間エコノミストの多くはこの目標は実現不可能だとみている。

・政府が見込む今年のGDP成長率は3%。ドゥホブネ財務相は金融引き締め策が景気の重しになることは認めたが、影響が「一時的」にとどまるとの期待も示した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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