July 27, 2020 / 6:33 AM / 10 days ago

コラム:ソフトバンクG、英アーム売却に立ちはだかるハードル

[ロンドン 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(9984.T)の孫正義会長兼社長が2016年に英半導体設計アーム・ホールディングスを320億ドルで買収したのは、アームの価値に比べて高過ぎる買い物だった。

 7月27日、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が2016年に英半導体設計アーム・ホールディングスを320億ドルで買収したのは、アームの価値に比べて高過ぎる買い物だった。2016年7月18日、ロンドンで撮影した2社のロゴ(2020年 ロイター/Neil Hall)

ブルームバーグによると、米半導体大手エヌビディア(NVDA.O)がアーム買収を検討している。エヌビディアに売却できれば、孫氏にとっては投資収益を回収する絶好の機会だ。しかし、エヌビディアにとって魅力的な買収先と見せるようなアームの独自の設計技術は、同時に各国の独占禁止当局にとっても物議を醸すものだし、それはアームの現顧客らにとっても同じだ。

ソフトバンクによるアーム買収は、当時の買収報道前の株価に43%上乗せした水準だった。この案件のその後は、常にフラフラな様子が見て取れる。

孫氏がアームに圧力をかけて研究投資を重視させた結果、EBITDA(利払い・税・償却前利益)は2019年3月期に前年同期比で21%減少した。つまり、借入債務や為替相場の変動、事業集中のための売却などの要因を除いたベースで、投資対効果で10%の内部収益率を得るには、売却で約470億ドルを回収しなければならないことになる。

株式市場の投資家が、アームにこんな類いの評価を与えることは考えにくい。

その金額は過去1年間の売上高の25倍に相当する。これは信じ難い高さだ。リフィニティブのデータによると、急成長中のエヌビディアですら同21倍。半導体業界全体で見るとわずか4倍だ。

アームのエヌビディアへの売却は、孫氏に対し、より貴重な買収からの「出口」を保証することになるかもしれない。エヌビディアなら、アームの汎用半導体の設計を、自社が得意とするグラフィックス処理用半導体の戦略とうまく適合させることができるだろう。

両グループは、コストの分担も可能かもしれない。買収規模320億ドルのうち半分を現金、半分を株式にすれば、エヌビディアの純債務もEBITDA比で1.1倍と、受け入れ可能な水準にとどまる。孫氏は前にもエヌビディアに投資していたのだから、今回も喜んで同社株を受け取るだろう。

しかし、独占禁止当局はそれほどのんびりとはしていられないだろう。アームの設計はコンピューターやスマートフォン、その他の機器であまりに幅広く使われているため、アームを買収した場合、エヌビディアは米クアルコムなどの競合企業に対し、排他的な力を持つことになる。欧州の独占禁止当局は通常、こうした案件に異を唱えるし、米国の当局も同じかもしれない。

エヌビディアに売却されれば、他の半導体メーカーがアームへの依存を減らざるを得なくなる可能性があり、これは将来の収益を損ないかねない。アームのエヌビディアへの売却は、大盤振る舞いだった買い物から孫氏を救い出すのにもってこいかもしれないが、この先の展開には曲折があるかもしれない。

●背景となるニュース

*ブルームバーグは22日、関係筋の話として、米半導体大手エヌビディアがソフトバンク傘下の英半導体設計、アーム・ホールディングスの買収に関心を示していると報じた。

*ソフトバンクは2016年に約320億ドルでアームを買収した。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、ソフトバンクはアームについて、一部もしくは全ての保有株の売却もしくは新規株式公開(IPO)などの出口戦略を検討している。

*ブルームバーグの報道によると、ソフトバンクは最近、米アップルにアプローチしてアームへの関心を探ったが、アップルは関心を示していない。

*ソフトバンクはコメント要請に応じなかった。エヌビディアとアームはコメントを拒んだ。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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