December 10, 2017 / 10:59 PM / a month ago

焦点:アジアの中銀、来年の利上げペースは米より緩慢か

[香港 7日 ロイター] - アジア各国の中央銀行は来年、相次いで利上げに動く見通しだ。ただ、アジア経済をけん引する中国の景気が鈍っているため、輸出主導の成長回復との釣り合いを取り、利上げのペースを米国よりも遅らせることになりそうだ。

数カ月前にはアジアの中銀の金融政策は現状維持か、追加緩和もあり得るとの見方が大勢だったが、見通しは一変。世界的な成長拡大を後押しする貿易の好調は長期化するとみられている。

先週は貿易が順調なこの機をとらえて韓国が金融正常化に進み、6年以上ぶりに利上げした。アナリストは、公共投資の急増が追い風となっているマレーシアやフィリピンも来年第1・四半期に利上げに踏み切ると予想している。

2013年に起きた米金融緩和縮小を巡る市場の混乱「テーパータントラム」を教訓に、アジアの中銀は米国ではなく自国の経済に目を向けることに自信を深めているはずだ。

ANZのアジア調査ヘッドのクーン・ゴー氏は「この数年で、アジアの金融政策は米国との連動性を断ち切れるということが明らかになった」と指摘。米国の追加利上げが見込まれるというだけでアジアの中銀が動くという状況ではなくなったと述べた。

アジアと米国の金融政策のデカップリングが表面化したのはこの2、3年。米国が4回の利上げを実施したのにアジア諸国は追随せず、利下げをする国もあった。

貿易統計からは、成長におけるアジアの米国依存が低下している様子が読み取れる。一方、中国は金融リスクの抑制への取り組みによって成長が鈍化しており、アジア諸国の来年の金融政策を左右する主な要因となりそうだ。

ロイターが国際通貨基金(IMF)の資料を基に試算したところ、世界金融危機後にアジア新興国の対米貿易は40%増加したが、対中貿易の伸びは120%に達した。アジア新興国の貿易は対中国が対米国を70%上回っている。

これは、アジア諸国は米国との金利差縮小による資本流出が通貨の急落を引き起こさない限り、金融引き締めのペースを米国により遅らせる、ということを意味する。物価低迷長期化や家計債務の増加で利上げが遅れる国もあるだろう。

オックスフォード・エコノミクスのアジア経済ヘッド、Louis Kuijs氏は「平均的なアジアの中銀は米国よりも利上げが少ないと見込んでいる」と述べた。インドやインドネシアなどの一部の国は利上げの出発点としての金利が米国よりも高く、追加利上げを待てる余裕があるほか、ドルの大幅な上昇が見込めないことから、アジアの中銀は実体経済や金融セクターに重圧を掛けない政策運営が可能だという。

世界の成長が同時に上向いている中で、ドルが長期的な水準でみると安定維持か、もしくは弱含んでおり、アジア諸国の通貨が急落を回避できる公算が大きいのは好材料だ。

さらに、利上げ観測を背景に米国とアジアで短期債の利回りが上昇しているにもかかわらず、世界的にインフレ圧力が高まるとの確信がないために長期債の利回りが安定を維持しているのも、アジアからの資本流出のリスクを抑える一因になっている。

フィデリティ―・インターナショナルのポートフォリオマネジャーのブライアン・コリンズ氏は「アジアの金融政策の見通しについては安心している」と話した。

(Marius Zaharia記者)

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