for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:アジアの原油需要回復は幻か、OPECプラスは注視を

[ローンセストン(オーストラリア) 30日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国で構成する「OPECプラス」は、増産か減産延長かで合意を見いだせずにいるが、参加国は原油の大消費地であり成長の速いアジア諸国の原油需要の実態に目を向けるべきではないだろうか。

11月30日、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国で構成する「OPECプラス」は、増産か減産延長かで合意を見いだせずにいるが、参加国は原油の大消費地であり成長の速いアジア諸国の原油需要の実態に目を向けるべきではないだろうか。写真は仏マルセイユ沖に停泊中の石油タンカー(2020年 ロイター/Jean-Paul Pelissier)

OPECプラスは30日から2日間の日程で閣僚級会合を開き、現行の日量770万バレルの協調減産を続けるか、あるいは当初の合意通り来年1月から増産を容認するかを協議する。(*11月30日時点の情報に基づいています。)

29日の予備協議は、協調減産をどの程度続けるか、段階的な増産を実施すべきかを巡り参加国の間で意見が割れ、合意に達しなかった。

アジアの原油需要の実態を見れば、OPECプラスが直面している困難がどういうものかが分かる。アジアは世界の原油需要に占める比率が約36%で、今後数年間で予想される需要の伸びの約80%を占める。

リフィニティブ・オイル・リサーチがまとめたタンカーの運航状況や港湾関連のデータによると、アジア諸国の11月の推計総原油輸入量は日量2504万バレルで、月間として年初来最低だった10月の同2260万バレルから11%増加した。

このデータはアジアの原油需要が、新型コロナウイルス感染拡大阻止のためのロックダウン(都市封鎖)による打撃から回復し始めたことを示している。

しかし11月の推定原油輸入量が、新型コロナがまだ世界的に流行していなかった1月の同2567万バレルを大きく下回っていることは注目に値する。

OPECプラスにとってより懸念されるのは、アジア諸国の11月の原油輸入の国別の動きであり、輸入増加の大半を中国の回復が占めている。

リフィニティブの推計では、中国の輸入は同約1156万バレルで、前月の同1006万バレルから15%増えた。

問題は中国の輸入が増えた理由だ。中国は過去に最大規模で輸入した原油の消化がまだ終わっていない。OPECプラスの主要参加国であるサウジアラビアとロシアの価格政策を巡る対立を受けて原油価格が一時的に下落した4月、中国は大量の原油を購入したが、このとき買い付けた原油の引き渡しが10月まで続いていた。

答えは、11月引き渡し分を購入する9月末から10月にかけて原油価格が安かったことかもしれない。

<価格要因>

指標となる北海ブレント原油は10月2日に3カ月ぶりの安値となる1バレル=39.27ドルで取引を終えた。その後やや持ち直したが、終値としての月間高値は10月8日の43.34ドルで、10月30日は37.46ドルに下がった。

新型コロナウイルスワクチンの臨床試験が成功し、原油は来年に需要が回復するとの楽観論が広まり、ブレントの終値は11月27日に48.18ドルに戻した。

サウジアラビアが10月積みの公式販売価格を引き下げ、アジア、特に中国でのシェア回復に向けて一定の取り組みをしたことも注視に値する。サウジは主力油種アラブライトの価格設定について、9月にはオマーン・ドバイ原油の平均価格に0.90ドル上乗せしたが、10月は同0.50ドルのディスカウントとした。

このため中国によるサウジ産原油の輸入は増加。10月は日量140万バレルだったが11月は推計で同213万バレルとなり、サウジは中国にとって最大の原油輸入国の座に返り咲いた。

中国は11月に米国からの原油輸入も急増。10月は日量38万バレルだったが、11月は過去最高の日量101万バレルとなった。これは中国が遅ればせながら米政府との1月の通商合意の条件を満たそうとしたからだろう。

全体として見れば、中国は価格低迷の機会を利用して11月渡しの原油の購入を増やしたように見える。つまり油価が現在上昇したことを考えれば、中国の輸入増加が続く保証はないということだ。

他のアジア諸国の原油輸入動向はまちまちだ。インドの11月は日量388万バレルで、10月の同392万バレルから小幅減少した。

日本は前月(同209万バレル)から増えて256万バレルとなる見込み。韓国は261万バレルで、前月(262万バレル)から横ばいと予想されている。

原油輸入が新型コロナ流行前の水準を大幅に下回っているのは共通する。アジアの原油需要はこの数カ月でいくらか回復しているが、強気のストーリーを支えるのに十分かどうか疑問符が付いたままだ。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up