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アングル:デルタ株直撃でアジアの経済回復に陰り、相次ぐ工場閉鎖

[東京 24日 ロイター] - アジア経済の力強い回復に陰りが見え始めた。新型コロナウイルス感染が再拡大し、またもや店舗から人の気配が消え、工場は閉鎖されて、企業収益の見通しが悪化しつつある。

 8月24日、アジア経済の力強い回復に陰りが見え始めた。写真はインドネシアのジャカルタのショッピングモール。入場するにはワクチン接種を受けた証明書を見せる必要がある。13日撮影(2021年 ロイター/Ajeng Dinar Ulfiana)

欧州や北米では経済活動が再開されている。それでもアジアの大半、とりわけ新興国は感染力の強いデルタ株の急速な広がりと、ワクチン接種率の低さに不意打ちを受けた形だ。

ING(シンガポール)のアジア太平洋調査責任者ロブ・カーネル氏は「アジア全域の経済が以前よりも新型コロナウイルスに苦しんでいるのは間違いない。最大の要因は、アジアのワクチン接種率の低調さにある」と指摘した。

確かに前年比ベースで見れば企業関連やマクロ経済の指標はしっかりと持ち直し続けているが、これは昨年の急激な落ち込みとの比較によって「水増し」された面があり、前期比ベースの数字では失速が明らかだ。

時価総額10億ドル(約1100億円)以上の1069社に関するリフィニティブ・アイコンのアナリストデータに基づいてロイターが計算したところ、アジア最大手クラスの企業の7-9月利益は、6四半期ぶりに前期比で減少する公算が大きい。

三菱UFJモルガンスタンレー証券のチーフ投資ストラテジスト、藤戸則弘氏は「第3・四半期が減速に見舞われるのは確実だ」と述べ、目先鍵を握るのは主要生産基地である東南アジアのワクチン接種の進み具合と、中国が追加経済対策を打ち出すかどうかになるとの見方を示した。

中国の7月の自動車販売は前年比11.9%減と3カ月連続のマイナスを記録。感染拡大と世界的な半導体不足に伴って生産が抑え込まれた。

世界最大の販売台数を誇るトヨタ自動車は先週、年度全体の生産・販売目標を維持しながらも、半導体の需給ひっ迫を理由に9月の生産計画台数を以前より40%減らした。熊倉和生調達本部本部長は、より幅広い部品供給に関しても「新型コロナウイルス感染拡大と東南アジアのロックダウンが大きな影響を及ぼした」と説明した。

<供給面の悩み>

東南アジアでは、新型コロナウイルスの感染急増とそれに対応したロックダウンによって製造業とサービス業の双方が痛手を受けている。

IHSマークイットのデータからは、7月の製造業活動が昨年6月以降で最も急激に縮小した様子が分かる。シンガポール駐在の同社アジア太平洋チーフエコノミスト、ラジブ・ビスワス氏は「東南アジア経済の勢いが第3・四半期に鈍化するというかなり強いシグナルだ」と述べた。

世界的なメーカーの多くにとって、東南アジアにおけるデルタ株のまん延は供給網(サプライチェーン)に絡むさまざまな悩みをもたらした。これらのメーカーの大勢は、タイやベトナム、マレーシアといった低コスト拠点で生産された自動車部品や半導体に依存しているからだ。

三菱自動車の池谷光司代表執行役副社長は、新型コロナウイルスの感染再拡大は需要を圧迫し、半導体不足が生産に長期的な悪影響を与え、鉄鋼その他の素材価格は上昇する流れにあると分析。「これらのリスクがある以上、われわれを取り巻く環境は引き続き不安定だ」と語った。

<前期比マイナス成長も>

マレーシアとベトナムでは、ロックダウンと感染者増加のため工場が操業停止を迫られている。

もっともアジアの景気がどの程度減速しているのかは、今後各国が公表する第3・四半期国内総生産(GDP)速報値が出てくるまで完全に把握できそうにはない。INGのカーネル氏は、比較的活動していた状態からロックダウンに移行した国・地域のGDPは恐らく前期比マイナスに転じると予想した。

カーネル氏によると、INGは既に、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、オーストラリアの成長率見通しを引き下げている。

「多くの場合、輸出の伸びは(前年比)30-40%が見込まれるとはいえ、それは相当強力なベース効果(前年水準の低いことによる増加)が働いた結果だ」という。

(Daniel Leussink記者、Gaurav Dogra記者)

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