December 23, 2018 / 11:23 PM / in 3 months

アングル:アジア「コスメ男子」に熱視線、大手ブランドも参戦

[ソウル/パリ/東京 19日 ロイター] - ジッポライターのように親指だけで開閉ができるアイシャドーから、淡い青味がかったグレーのパッケージの薄付きファンデーションまで、男性化粧品が新たに生まれ変わろうとしている。

化粧品メーカー各社は男性化粧品をもっとメジャーなものにしようと本腰を入れ始めた。

仏シャネルや日本のポーラ・オルビスホールディングス(4927.T)などは、男性化粧品の需要が特にアジアで高まっているのを機に新しいラインを発売し、これまでずっと不調だった同部門がようやく上向くことを期待している。

芸能界や限られた美容ブロガーの世界以外にも、メーカーがターゲットとしている男性化粧品ブランドの顧客はいる。例えば、イメージを大切にする企業経営者などだ。ブランド側も、「化粧していることが目立たない」という一部の製品の特長を強調している。

清潔感を出すことはビジネススキルの1つとなりつつあると、ポーラ・オルビス傘下のACRO代表取締役社長の御後章氏は言う。同社は9月、男性化粧品ラインを発売した。その中には、「クリスピン」や「ホアキン」という名が1つ1つに付けられた15種類のスキントーンが選べるファンデーションも含まれる。

韓国では、Kポップ男性アイドルグループが人気で、彼らのキュートで非の打ちどころのないルックスは、魅力的な男性像を再定義するのに一役買っている。同国などでの需要の高まりは、これまでニッチ市場だった男性化粧品が成長する可能性を示している。

ファッションデザイナーとして自身の会社を経営しているリ・ホジュンさん(28)は、眉を描いたりする一部の知人とは違い、フルメークはしたくないが、BBクリームのような薄付きの保湿剤の使用は当たり前となっており、男性コスメのコーナーが拡大しているコスメショップを訪れていると話す。

「男なので、コスメショップに入るのは恥ずかしく、変な感じがしていた。でも今では、ためらいなく入れる」と、ホジュンさんは女友だちと首都ソウルの街を歩きながら語った。

市場調査会社ユーロモニターのデータによると、アジアの男性化粧品市場は依然小さく、2017年は世界全体の市場規模495億ドル(約5.5兆円)の5分の1にも満たなかった。

しかし他の市場がシェービングやデオドラント製品が中心であるのに対し、アジアはすでに急成長分野のスキンケア製品が売れ筋で、世界売上高の6割以上を占めている。

<男性の必需品>

大半の化粧品メーカーは、男性化粧品に対してせいぜい試験的に販売しているだけだ。

 12月19日、男性化粧品が新たに生まれ変わろうとしている。都内で9月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

だが、男性用ファンデーションを75ドルで販売するシャネルなどの新規参入者は、コスメが洗練されるにつれ、男性たちの見る目も厳しくなると主張する。例えば、大きな毛穴を隠すために特別な質感を求めるようになると。

香水やファッションで有名なシャネルは、「ボーイ・ドゥ・シャネル」という新しい男性メークアップラインの中でマットな質感のリップバームやグレーの眉ペンシルを発売している。

「男性の特定の需要にターゲットを絞ることは、新たな使用方法や多様な使い方のできる新製品や新しいフォーマットの開発において、業界全体を真の革新へと導くだろう」とシャネルはメールでコメントした。

<中国が鍵>

ユーロモニターによると、韓国人男性1人当たりがスキンケアに使う費用はすでに群を抜いており、米国やフランスの10倍以上となっている。

「韓国では若く見られたいというプレッシャーは相当強い。職探しでも、見た目は20歳で、経験は20年なければならない」と、コスメ業界の調査会社ビューティーストリームズのクリエイティブディレクター、マイケル・ノルト氏は指摘。「文化的な側面もある。ボーイッシュなイケメンがトレンドだ」

男性用ではないメーク用品がすでに男性に人気の韓国市場は競争が激しく、化粧品メーカーにとってこれはチャンスでもあると同時に試練でもある。

韓国最大のオンラインストアGマーケットでは今年1─8月、男性消費者に対するマスカラやリップなどの化粧品売り上げが前年同期比130%増となり最高を記録した。

シャネルは9月、韓国で「ボーイ」を先行販売した。来年には他のアジアや米国、英国の実店舗で発売を開始する。一方、日本国内の店舗やオンラインで販売展開するACROは、来年には韓国やタイに進出しアジア市場への参入を計画している。

男性化粧品市場において、中国に進出できるかが最終的な鍵を握るだろう。

仏化粧品大手ロレアル(OREP.PA)の予想によると、今年の中国美容市場の規模は推定390億ユーロ(約5兆円)で、2030年までにこの2倍以上に拡大する。男性消費者の関心はすでに表れ始めている。

中国電子商取引2位の京東商城(JDドット・コム)は、6月に行った特別セール期間中の最初の17日間で、化粧品を購入した男性消費者の数は前年比61%増加したとしている。フランスの高級ブランド、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)(LVMH.PA)傘下のクリスチャン・ディオールや、米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)(PG.N)が日本で展開する高級ブランド「SK─II」が人気だという。

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「実際に変わり始めている」と語るのは、上海に拠点を置き、ミニブログ「新浪微博(ウェイボー)」で約27万人のフォロワーがいる男性コスメブロガー、ツリーツリー・ウーさん(26)だ。ウーさんは、歌手のリアーナがLVMHと組んで立ち上げたメークアップブランド「フェンティ・ビューティ・バイ・リアーナ」のファンだと公言する。

「男性スターだけでなく、多くの若い男性がコスメを使っている。普通の人たち、学生でさえ少なくとも眉は描いている可能性がある」

(Haejin Choi記者、Sarah White記者、Sam Nussey記者 翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

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