[東京 4日 ロイター] - 麻生太郎金融担当相は4日の閣議後会見で、金融庁提出の銀行法などの改正案を閣議決定したと発表した。金融とIT(情報技術)の融合を促すための制度整備や仮想通貨の規制が改正案の主眼。5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)前の成立を目指す。
麻生担当相は「仮想通貨はテロ資金に使われているとの指摘もある」とし、主要7カ国(G7)でルール整備を求められていたと説明。ビットコインの私設取引所だったマウントゴックス社が2014年に破たんした問題も踏まえ、「法制上の処置を通じて、利用者の保護や不正利用の防止に適切な対応を図っていくことが重要だ」と述べた。
改正案では、仮想通貨取引所の登録制を導入することが盛り込まれた。取引所は利用者の金銭と仮想通貨の分別管理などを求められる。一方、金融庁による検査権限、業務改善命令や登録抹消などの処分権限が規定された。マネーロンダリング(資金洗浄)・テロ資金供与対策としては、口座開設時の本人確認や疑わしい取引の当局への届け出を求める。
資金決済法の改正案で、仮想通貨は決済手段の1つと位置づけられたが、「貨幣」(造幣局が発行するコイン)や「通貨」(貨幣及び日本銀行券)とは一線を画した。仮想通貨は、不特定の者との間で物品売買時の支払いや法定通貨との交換に利用でき、電子的に移転することが可能な「財産的価値」と定義された。
金融とITの融合を促進する観点からは、銀行が金融関連IT企業に出資する際の条件の緩和などが盛り込まれた。金融庁の認可を前提に、銀行は5%(持ち株会社は15%)を超えて出資することが可能になる。
*内容を追加しました。
和田崇彦
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」