[シドニー/ロサンゼルス 24日 ロイター] - 世界陸連が男子として思春期を過ごしたトランスジェンダー選手による女子カテゴリーへの出場を禁止したことを受け、スポーツ界ではこの決定に対する賛否が分かれている。
世界陸連のセバスチャン・コー会長は、この決定について「女子カテゴリーを守るための包括的な必要性に基づいている」と説明。その他、テストステロン値が高くなる性分化疾患(DSD)と診断された選手に関しては、テストステロンの血中濃度の上限を1リットル当たり5ナノモルから2.5ナノモルに半減したうえで2年間維持することなども23日に発表された。
これを受け、自転車競技のトランスジェンダー女子選手で、国際オリンピック委員会(IOC)のジェンダーポリシーに法的に異議を唱えてきたクリステン・ワーリー(カナダ)はロイターに対し、「最も弱い立場の人々が、科学や研究に基づくのではなく、政治的な理由でスポーツから排除されている。これは国際的なレベルだけではなく、米国内のコミュニティを含む世界中のコミュニティにも影響を及ぼしている」と批判した。
また、オーストラリアのトランスジェンダー選手であるリッキー・コグランも、世界陸連の決定はトランスジェンダーの人々に対する「憎悪の力」を強めるものと非難した。
一方で、陸上で五輪銅メダリストのエミリー・ダイアモンド(英国)はツイッターで「科学に従うことに感謝する。公正さと女性カテゴリーを守るための大きな一歩だ」と、決定を歓迎。トランスジェンダー選手による女性スポーツ参加の反対運動を行っている団体の1つは、「コー会長が、何よりも女性の参加の公平性を維持しなければならないと言ったことは、本当に心強いことだ」とロイターに語った。
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