[シドニー 15日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した12月の雇用統計によると、就業者数は前月比3万7400人増加した。失業率は6.1%で、4カ月ぶり低水準となった。
ロイターがまとめた市場予想は、就業者数が3800人増、失業率は6.3%だった。
就業者の内訳は、フルタイムが4万1600人増、パートタイムが4100人減。
労働参加率は64.8%。
昨年は雇用統計をめぐる複数の問題が浮上しており、単月の統計の強弱を深読みし過ぎないよう、投資家の間で慎重姿勢が広がった。
コモンウェルス銀行のチーフエコノミスト、マイケル・ブライス氏は「増加度合いを考えると、信頼性に再び疑問符が付くだろう」と述べる一方、「フルタイムが増加したことが就業者数増につながった。労働参加率が上昇し、失業率は低下した。前向きな材料だと捉えずにはいられない」と述べた。
オーストラリア準備銀行(RBA)は2013年8月に政策金利を2.5%に引き下げた後、据え置いている。低金利環境で住宅市場が過熱するとの懸念もあり、追加利下げに傾くことはあまりなかった。
雇用需要が上向いていることが先行指標でも示されており、新聞・インターネット媒体に掲載された12月の求人広告数は、7カ月連続で増加し、2年余りで最も高い水準となった。
一方、賃金の伸びは10年強ぶりの低水準近辺で、ガソリン価格の急落とともに、インフレ鈍化の見通しを裏付けるものとなっている。
来週発表される指標では、第4・四半期のインフレ率が、RBAの目標とする2─3%のレンジを下回る水準に低下する可能性がある。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のチーフエコノミスト、ウォーレン・ホーガン氏は「エネルギー価格が世界的に大幅下落しており、2015年のインフレ率は従来予想を下回る見通し。利下げの余地が生まれる」と指摘。2015年上期に25ベーシスポイントの利下げを見込んでいるという。