September 1, 2014 / 9:17 AM / 5 years ago

豪の次世代潜水艦を日本で建造、両国が協議=関係者

[東京/シドニー 1日 ロイター] - 潜水艦の新造を計画するオーストラリアが、川崎重工業 (7012.T)と三菱重工業 (7011.T)に建造を発注し、完成品を輸入する方向で日本と協議していることが、複数の関係者の話で明らかになった。日本はオーストラリアの予算と仕様に応じた艦を造る意向で、両国は年明けにも合意する可能性がある。

 9月1日、潜水艦の新造を計画するオーストラリアが、川崎重工業と三菱重工業 に建造を発注し、完成品を輸入する方向で日本と協議していることが、複数の関係者の話で明らかになった。写真は海上自衛隊の「そうりゅう型」潜水艦(2014年 ロイター/Japan Maritime Self-Defense Force/Handout via Reuters)

日本の武器輸出は部品にとどまっていたが、実現すれば完成品を海外に売却する初のケースとなる。

<開発リスクを敬遠>

オーストラリアは2030年代初めに潜水艦の世代交代を計画。しかし、独力で設計・建造する能力に乏しく、1)完成品を輸入、2)他国からライセンスを取得して自国で生産、3)エンジンだけを輸入して自国で生産、4)他国の技術協力を仰ぐ──のいずれかを検討している。

複数の日豪関係者によると、最有力案として議論しているのが完成品の輸入。オーストラリア政府の依頼を受けた米ランド研究所は昨年、国内での建造には設計者と技術者1000人が必要との試算を報告した。実際に動員できる5倍以上の規模だった。

財政支出の削減に取り組むオーストラリアは、最も効率的な手法で潜水艦を調達したい考え。かねてから技術導入先として関心を寄せていた日本に建造を発注する案が優勢になりつつあるという。

「オーストラリアは自国で開発して失敗するリスクを取りたくない」と、日豪間の交渉を知る関係者は言う。「完成品で最も良い潜水艦はどこかと探したら、日本のものだった」と話す。

今年7月に豪国防省がまとめた報告書は、潜水艦の建造計画について「国内で建造すべきかどうか重要な議論が行われている。この問題は利点だけでなく、コストやリスク、スケジュールも勘案しなくてはならない」と、海外で建造する可能性を示唆している。

<日本の関係者が施設を視察>

日本のそうりゅう型潜水艦はディーゼルエンジン型として世界最大。潜航期間が2週間程度と長い上、静穏性に優れているのが特徴で、敵に見つかりにくいとされている。オーストラリアは現有のコリンズ級よりも大きな4000トンクラス、海中での航行距離が長いディーゼル潜水艦を求めており、条件に一致する。

しかし、そうりゅう型は1隻およそ500億円と価格が高く、オーストラリアの予算を上回る。日本側も、潜水艦という秘匿性が高い防衛装備品で全く同型のものを輸出することには海上自衛隊が難色を示している。

関係者によると、日本の防衛省はオーストラリアの予算と要求に合わせて仕様を変えた潜水艦を提案する見通しだという。

両国は現在、月に1度のペースで協議を重ねている。8月中旬には防衛省幹部と川崎重工、三菱重工の関係者がオーストラリアを訪れ、アデレードにある関連施設などを視察した。

オーストラリアは来年前半に見直す国防白書に、建造する潜水艦のタイプや隻数を盛り込む予定。関係者によると、協議が順調に進めば両国は年明けにも合意に至る可能性があるという。

「オーストラリアと日本の協議は加速している」と、関係者は話す。

ロイターの取材に対し、日本の防衛省は「二国間の防衛協力の強化に向け、装備技術協力についても様々な意見交換をしているが、具体的な回答は差し控えたい」とコメント。川崎重工と三菱重工は両社とも、政府が決めることであり、「コメントする立場にない」としている。オーストラリアの国防省は「設計、建造についてまだ何も決まっていない」との見解を示している。

<トヨタ撤退以上のインパクト>

問題は、海外で建造する案に対し、オーストラリア国内で反発が強いことだ。潜水艦の整備施設がある南オーストラリア州のマーチン・ハミルトン・スミス防衛産業相は、フォード・モーター (F.N)やトヨタ自動車 (7203.T)、ゼネラル・モーターズ (GM.N)が生産から撤退した以上に政治的な議論を呼ぶと警告。経済的な影響も大きいと指摘する。

同相によると、南オーストラリア州で防衛産業に携わるのは2万7000人。うち3000人が造船業に関っている。次世代潜水艦の建造は、30年間で2500億豪ドルの経済効果が期待できるという。「海軍と連邦政府が決めることとは承知している。しかし、日本、ドイツ、スウェーデン、どこの国と組もうが、ここで造ることは譲れない」と、同相は言う。

一方、日豪の関係者によると、オーストラリア政府は整備を国内で手がけることを考えているという。

日本は4月に武器の禁輸政策を見直し、一定の条件を満たせば輸出や他国との共同開発を認める防衛移転三原則を導入した。これまでに決まった主要案件は、米国へのミサイル部品の輸出と、英国との戦闘機用ミサイル共同研究。海難飛行艇US2の輸出や現地生産をインドと協議しているが、まだ最終合意に至っていない。

久保信博、ティム・ケリー、マット・シーゲル 編集:田巻一彦

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below