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コラム

コラム:豪中の貿易摩擦、鉄鉱石市場に飛び火か

[メルボルン 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - オーストラリアと中国の貿易摩擦が鉄鉱石市場に飛び火しつつある。中国政府は既にオーストラリア産のさまざまな製品について輸入制限措置を実施しているが、今度は双方の経済にとって極めて重要な鉄鉱石までもが、両国のつばぜり合いの中で混乱に巻き込まれようとしている。

12月18日、オーストラリアと中国の貿易摩擦が鉄鉱石市場に飛び火しつつある。写真は鉄鉱石。豪ピルバラで2013年12月撮影(2020年 ロイター/David Gray)

オーストラリア政府が第5世代(5G)移動通信システムのネットワーク構築事業から中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を締め出し、新型コロナウイルスの起源の調査を国際社会に働き掛けて以来、両国はずっと緊張が高まった関係にある。中国国営メディアは最近、オーストラリアからの石炭輸入を一部停止したと伝えた。これに対し、モリソン政権は国際貿易ルール違反だと非難。中国側がオーストラリア産ワイン、大麦、牛肉などに多額の関税を課すか、輸入を禁止した一方で、オーストラリア側も国内企業に対する中国勢の買収に介入。さらに中国が突きつけた「14項目の不満」を巡る問題でも譲歩する気配は一切見えない。

対立の構図は鉄鉱石にも及ぼうとしている。鉄鉱石の指標価格は今年になって急騰し、トン当たり150ドルを超えて2013年以来の高値を記録。これは中国の建設業者にとっては悲報だ。中国鉄鋼工業協会(CISA)は16日、英豪資源大手リオ・ティントの経営陣が価格設定メカニズムの見直しに動く意欲を見せていると明らかにした。鉄鉱石生産業界が10年前、価格設定を毎年の交渉に基づくベンチマーク方式というあいまいな形から、短期取引に基づくインデックス方式に切り替えて以来、中国側がずっと異を唱えていた問題だ。

中国は鉄鉱石の在庫の約6割をオーストラリアから仕入れる。さらに今年の中国の鉄鋼生産は増加している。これがオーストラリアにとって、中国に対する立場を強める武器になるかもしれない。オーストラリアの元資源相は中国が打ち出した各種輸入制限への対抗措置として、鉄鉱石輸出の報復関税を提案。現資源相のキース・ピット氏が14日、この考えを否定して見せる場面もあった。

こうした一連の騒動を見れば、経済的な相互依存関係がもはや、貿易摩擦を抑止する鉄壁の要因にはならないことが分かる。ゴールドマン・サックスの試算では、中国が鉄鉱石輸入を全面的にやめた場合、オーストラリアの成長率は2%ポイント下押しする。そうなる前にリオ・ティントや、やはり英豪BHPなどの業者は新たな顧客開拓を加速させる。中国もアフリカなどの別の調達先を確保しようとするだろう。しかし、いずれも実現までには時間がかかる。その間、鉄鉱石が通商上の武器として使われるリスクを等閑視することはできない。

●背景となるニュース

*中国鉄鋼工業協会(CISA)は16日、英豪系資源大手リオ・ティントが鉄鉱石の価格設定メカニズムを買い手とともに見直すことに前向きだと明らかにした。

*CISAは以前、中国の規制当局に対して大連商品取引所における価格急騰について調査するよう要請していた。

*CISAの幹部はリオ・ティントが最近継続的な「高値」の取引を行ったと指摘。同社は、顧客やサプライヤー、業界の利害関係者と協力し、鉄鉱石を含めた主要原料市場の開放性や流動性、透明性を確保する取り組みを続けていると説明した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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