May 11, 2019 / 11:31 PM / 10 days ago

焦点:豪総選挙、移り気なキリスト教徒票の動向に注目

[シドニー 9日 ロイター] - オーストラリアでは18日に連邦議会下院の総選挙が行われるが、注目される要素の1つはキリスト教徒票の動向だ。

最新の国勢調査によると、国民の半分以上が自身をキリスト教徒とみなしている。ただ他国のより保守的なキリスト教徒と異なり、オーストラリアの同教徒は、家族の価値や温暖化、移民など幅広い問題に基づいて突然投票行動を変えることで知られる。

一方でオーストラリアにバイブル・ベルト(キリスト教信仰に熱心な地域)があるとすれば、それは人口が密集する主要都市近郊で、必ず選挙の行方を左右してきた地域でもある。

人口動態分析会社オーストラリアン・デベロップメント・ストラテジーを創設した元労働党上院議員のジョン・ブラック氏は、選挙で変化が起きる背景には勤労者世帯の不満が存在するとはいえ、もしキリスト教徒がまとまってどこかに票を入れるなら、激戦区で特定の候補者を勝たせる力になり得ると指摘した。

過去にはキリスト教徒の票をうまく取り込んで選挙に勝利した政党指導者もいる。世界金融危機が顕現化しつつあった2007年の総選挙で、当時の労働党を率いたケビン・ラッド氏が、社会的な倫理観を重視する戦略を駆使し、ジョン・ハワード氏の保守派政権を打ち破ったのだ。

もっともそれ以降は、どの政党指導者もキリスト教徒の投票行動を1つにまとめる取り組みに成功していない。これはオーストラリアのキリスト教徒がいかに多様で移り気かの証明といえるかもしれない。

こうした中でオーストラリア・カトリック司教会議は、投票に行く信者は地球温暖化や弱者保護、先住民の苦境改善といった問題に留意するべきだとする声明を出した。

パースのプロテスタント教会で牧師を務めるロリー・シャイナー氏は、信者が最も関心を持っているのはオーストラリアの移民に対する扱いと、信仰を自由に表明できる法的権利を守ることのようだと述べた。

特に近年は強硬な移民政策に不安を見せるキリスト教徒は多い。ただロイターが取材した複数のキリスト教指導者の話では、モリソン首相が率いる今の保守連合政権と、最有力野党の労働党の移民政策は似たり寄ったりで、いずれもキリスト教徒の思いをくみとっていないという。

対照的に温暖化問題では、主要政党の姿勢は異なる。労働党の方がより野心的な温室効果ガス排出量削減目標を掲げており、保守連合側はそうした政策はコストが大き過ぎると反対している。

自身がカトリックで宗教的な立場から温暖化に取り組む団体を率いているシーア・オーメロッド氏は、さまざまなキリスト教団体が温暖化問題への関与を強めつつあり、保守連合政権は温暖化に対してより積極的な対応策を掲げる政党に票を奪われるだろうとの見方を示した。

オーメロッド氏は「キリスト教徒を一体化させる問題という面では、移民の扱いが真っ先に挙げられるが、温暖化問題もそれに迫ろうとしている」と説明した。

 5月9日、オーストラリアでは連邦議会下院の総選挙が18日に行われるが、注目される要素の1つはキリスト教徒票の動向だ。シドニーの教会で5日撮影(2019年 ロイター/Jonathan Barrett)

オーストラリアでは選挙の候補者が信仰心を前面に出すのは珍しいが、先月にはモリソン首相が地元の教会で復活祭の礼拝中にカメラを招き入れて自身を撮影させた。

こうした行動には批判もあったとはいえ、ブラック氏は都市近郊の激戦区では効果を発揮すると予想。「多くのオーストラリア国民は信仰を黙して語らない傾向があり、信仰心をはっきり打ち出すことにためらいを感じない人を尊敬する」と話した。

(Jonathan Barrett記者)

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