[キャンベラ 24日 ロイター] - オーストラリアの与党・自由党が24日に実施した党首選でモリソン財務相が勝利し、第30代首相に就任する運びとなった。
党首選にはモリソン氏のほか、ダットン前内相とビショップ外相が立候補した。
豪メディアによると、ビショップ氏は第1回投票で敗れ、モリソン氏が45対40でダットン氏を下した。
ターンブル首相はこの日、党首交代を求める過半数議員の署名を受け取ったことを受け、21日に続く2度目の党首選を実施した。
ターンブル氏自身は出馬せず、党首選後に記者団に対し、「そう遠くない将来に」議員を辞職する意向を示した。
モリソン氏は過去10年足らずで6人目の首相となる。
自由党と国民党による与党保守連合はここ数カ月、世論調査で野党労働党を追いかける展開が続いており、ターンブル氏が議員を辞職すれば、新政権は同氏の議席を巡る補欠選挙に直面することになる。
与党はわずか1議席差で辛うじて下院の過半数を維持しており、この過半数が失われる可能性がある。
豪メディアは、ビショップ氏も議員を辞職する可能性が高いと報じた。
ターンブル氏は2015年9月に首相に就任したが、支持率が低迷し、2016年の総選挙では接戦を強いられた。
金融市場はこのところの政局を受けて不安定だったが、モリソン氏の勝利を歓迎し、シドニー株.AXJOは4日ぶりに反発した。
TDセキュリティーズのアジア太平洋担当チーフマクロストラテジスト、アネット・ビーチャー氏は「モリソン氏は最も市場寄りの人選だ」と評価。ただ市場は今後、モリソン氏が労働党との支持率の差を縮めることができるかを注視するだろうと語った。
過去10年間、豪州では政治的に不安定な状態が続き、任期いっぱい勤め上げた首相はいなかった。
アーンスト&ヤング(豪州)の最高経営責任者(CEO)、トニー・ジョンソン氏は「過去10年間の政治の混乱はオーストラリアの国際競争力を削いできた。経済界は投資の促進、企業信頼感の回復に向けて政策の確実性を必要としている」と述べた。
一方、AMPキャピタルのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏は、モリソン氏が決選投票で45対40という僅差で勝利したことを受け、今後さらに混乱が続くリスクもあるとの見方を示した。
モリソン氏の勝利で与党内での内輪もめには決着がついたものの、来年5月までに行われる選挙を控え、豪政権には傷跡が残った。
*内容を追加しました。
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