[シドニー 16日 ロイター] - オーストラリアは16日、レアアースなど重要鉱物資源の生産拡大に約5億豪ドル(3億6000万ドル)の財政支援を行うと発表した。同盟国の供給を多様化すると同時に、世界市場での中国の支配的地位に対抗する狙いだ。
モリソン首相が訪問先の西オーストラリア州で、レアアース分離施設やバナジウム処理工場など一連のプロジェクトへの資金拠出を発表。
「最近の出来事により、豪州がここ80年で最も困難で危険な安全保障環境に直面していることが浮き彫りになった。欧州で起きていることは、エネルギー安保と経済安保、国家安保の密接なつながりを改めて気づかせるものだ」と記者団に述べた。
日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国(クアッド)は昨年9月に米ワシントンで開いた首脳会合で、レアアース供給網の安全性を高めることで合意していた。
テイラー産業・エネルギー・排出削減担当相は「中国は現在、世界の重要鉱物生産の約7─8割を占めており、こうした供給網の支配力を引き続き強めている。今回の取り組みはこの支配に対処することを目的としている」と述べた。
重要鉱物はスマートフォンやパソコン、充電池、電気自動車(EV)などのほか、防衛・宇宙分野でも使われる。
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