July 28, 2019 / 12:21 AM / 4 months ago

焦点:急激な鈍化に見舞われた豪住宅市場、幅広い産業に影響

[シドニー 24日 ロイター] - オーストラリアの住宅用不動産市場がブームの頂点にあった2年前、シドニーで建設業を営むトビー・サールさんは大工などの職人から折り返しの電話をもらうことができなかった。職人にはそれほど注文が殺到していた。しかし今では仕事を求める職人からの電話が鳴りやまない。

 7月24日、オーストラリアの住宅用不動産市場がブームの頂点にあった2年前、シドニーで建設業を営むトビー・サールさんは大工などの職人から折り返しの電話をもらうことができなかった。写真は2017年10月、シドニー郊外で撮影(2019年 ロイター/David Gray)

住宅市場は新築の需要が鈍り、5月の住宅着工許可件数が6年ぶりの水準に低下。同時に住宅向け融資の条件が厳格化され、物件価格は急落した。オーストラリアは労働人口の10%近くを建設業が占めており、住宅市場の落ち込みは低迷する景気の重しとなっている。

住宅建設の不振はサプライチェーンを通じて他の分野にも影響が波及。用地の売り出しが減速して貯木場の売り上げが減少し、職人斡旋業者や技術者、建築士までさまざまな業種でレイオフが広がっている。

シドニーの建築士グレッグ・バーネットさんは「プロジェクト中止の兆候が鮮明に表れている」と話す。グレッグさんの勤務先は市況の悪化を受けて100人余りの設計者の10%程度を解雇した。「いずれこうした状況に見舞われると予想していたが、これほど厳しいとは思わなかった。注文が突然とまった」という。

シドニーとメルボルンの住宅価格はピークの2017年からそれぞれ11%、15%下落し、過去数十年で最大の下げを記録。不動産開発と住宅建設では今後の予定が見当たらなくなった。

現在670件ほどの案件を抱えているメルボルンの住宅建設会社、デニス・ファミリー・コーポレーションのピーター・レビング最高経営責任者(CEO)は「作業中の案件の面では絶好調だ」としつつ、今後1年ほどのうちに仕掛かり中の案件の数が落ち込み始めると予想。これと同じペースで注文を獲得できなければ、人員削減や下請けへの発注抑制を迫られるだろうと述べた。

実際のところ、オフィス向けやインフラ建設など住宅以外の建設市場は依然好調で、建設業全体はまだ2018年のピークを割り込んでいない。最近は不動産市場にも安定の兆しが見え、レビング氏の住宅建設会社もメルボルンのオフィスで問い合わせが増えている。

ただ、市況が向こう1年以内に大幅に上向くとの予想はほとんどなく、職人は当面、注文獲得に追われそうだ。

土地開発会社サターリー・プロパティー・グループのゼネラルマネジャー、ジャック・ホフマンさんは「用地販売はこの1年間でかなり鈍った」と話した。1年前にはビクトリア州での用地販売に行列ができたという。「土地の売り出しが減速すれば、住宅建設も鈍化する」としつつ、来年にはある程度持ち直すと期待している。

しかしそうは行かないかもしれない。オーストラリア経済は成長率が10年ぶりの水準に鈍り、建設業のサプライチェーン全体の落ち込みで景気が一段と悪化するのは間違いない。

既に豪建材大手ボラル(BLD.AX)は見通しを下方修正し、ニュージーランドの建設最大手フレッチャー・ビルディング(FBU.NZ)は先月、オーストラリア事業が予想より大きな打撃を受けると警告した。2年前には注文に応じるのに四苦八苦していた貯木場は閑古鳥が鳴いている。

職人斡旋会社ハンター・レーバー・ハイヤーのディレクター、ソーチャ・ハンター氏も「市況が少し静かになっていると話す顧客が多い」と語った。

(Tom Westbrook記者)

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