[シドニー 21日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は21日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下で導入した3000億豪ドル規模の債券購入策による損失で純資産価値がマイナスになったと明らかにした。ただ、お金を生み出す能力があるため支払い不能にはならず業務に支障はないと指摘した。
ブロック副総裁によると、2021/22年度は保有債券の時価評価損が449億豪ドル(約300億2000万米ドル)に上り、82億豪ドルの基礎利益を大幅に上回り、367億豪ドルの会計上の損失が生じた。また、中銀の準備金も全て相殺し、純資産価値がマイナス124億豪ドルとなった。
ブロック氏は通常の企業であれば破綻するところだが、中銀の負債は政府によって保証されていると指摘。
「中銀にはお金を生み出す能力があるため、支払い期限が来てもその義務を果たし続けることができる」と述べ、支払い不能に陥ってはおらず、業務遂行にも支障を来さないとした。
保有債券は満期まで保持し続ける考えで、償還時に利益を出す可能性が高く、評価損が相殺されるだろうとした。
また、今後は利益を留保して資本基盤を再構築することを想定しており、政府への配当は何年も支払わない見込みだと説明した。
中銀は外貨準備に評価損が発生した2013年に政府から資金注入を受けたが、今回は必要ないとの認識を示した。
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