January 3, 2019 / 2:56 AM / 2 months ago

焦点:苦境の韓国企業に光明か、車載用電池で中国規制に変化

[ソウル/北京 20日 ロイター] - 自動車用バッテリーを製造する韓国のLG化学(051910.KS)やサムスンSDI(006400.KS)といった企業は、手痛い損失を重ねた投資の末、ようやく中国市場に一筋の明るい光明を見出しつつある。

 12月20日、自動車用バッテリーを製造する韓国のLG化学やサムスンSDIといった企業は、手痛い損失を重ねた投資の末、ようやく中国市場に一筋の明るい光明を見出しつつある。写真は8月、浙江省湖州の電気自動車のバッテリー工場(2019年 ロイター)

彼らが苦労した原因は何か──。それは3年前に発表された中国政府が推奨するバッテリー製造企業のホワイトリストだ。これに従うことで自動車メーカーは潤沢な補助金の取得が可能となったが、このリストには外国企業が含まれていなかった。

それ以来、中国という世界最大の電気自動車(EV)用バッテリー市場において、同国の寧徳時代新能源科技(CATL)(300750.SZ)や比亜迪股分有限公司(BYD)(002594.SZ)(1211.HK)を筆頭とする競合企業が事実上シェアを独占してきたのである。

だが、中国が国内の自動車用バッテリー市場を開放する兆候が出てきたことで、これまで既存の中国生産拠点を輸出向けに切り替えざるを得なかった韓国企業も、投資拡大に意欲を見せつつある。

LG化学は7月、中国で第2の自動車用バッテリー生産工場に約2兆ウォン(約2000億円)を投資し、2019年10月に生産開始すると発表。一方、SKイノベーション(096770.KS)は中国工場に4000億ウォンを投資し、EVバッテリーの主要部品を製造する予定だ。

サムスンSDIは中国におけるバッテリー生産能力の拡大を検討していると述べており、同社のマイケル・ソン上級副社長は、同社が中国の「保護主義的政策」の漸進的変化に対応しつつある、と述べた。

「複数の中国自動車メーカーと積極的に協議している」と、ソン上級副社長は10月、決算発表の電話会議で語った。

大気汚染対策を進める中国は本格的なEVへの移行を目指しており、同国の自動車用バッテリー市場の世界全体の61%に相当。その規模は年間130億ドル(約1.4兆円)と推定されている。

つまり、自動車用バッテリー製造企業としてそれぞれ世界第4位、6位にランクされるLG化学、サムスンSDIにとって、中国市場は成長のために不可欠な市場となっている。

「中国のバッテリーメーカーは、恐ろしい勢いで成長している。われわれが生き残って、彼らをリードできるかどうかは、今後2─3年が正念場だ」とサムスンSDIの関係者は語った。

<新たな推奨リスト>

韓国企業が投資計画を急ぐきっかけとなったのは、中国がEVやプラグインハイブリッド車に対する補助金を2020年までに段階的に廃止すると約束したことに加え、2つの自動車業界団体が認証済みのバッテリー製造企業について新たな「推奨リスト」を5月に発表したことがある。

新しいリストにはLG化学やサムスンSDI、それにSKイノベーションと中国の北京汽車集団(BAIC)グループによる合弁企業が含まれていた。これは、2015年11に発表された推奨リストに外国企業が含まれていなかった反動という含みもあると考えられている。

「新たな推奨リストを作る際の基本原則として、国産製品に自信を持てるようになったのだから、市場を開放すべき時期だと考えた」。今回のリスト取りまとめを支援した専門家の1人は、匿名を条件にそう語った。

今後のリスト改訂においては、米EV大手テスラ (TSLA.O)の新車種に独占的にバッテリーを供給するパナソニック(6752.T)も加えられる可能性があるとこの専門家は語る。パナソニック側も、テスラが上海工場の建設を準備していることを背景に、リスト入りの許可を求める予定だと語った。

とはいえ、この推奨リストは補助金との関連はなく、これだけでは、中国での販売拡大を急ぐ十分な契機とは言えないだろう。

北京を拠点とするLG化学関係者によれば、中国の自動車メーカーは、まだ態度を決めかねているという。前回発表されたリストの発信元であり新車の承認権限を有する中国工業情報化省(MIIT)に対して、今回のリストがどの程度の影響力を持つかが読み切れないからだ。

こうした理由から、LG化学はまだ中国自動車メーカーに対するバッテリーの販売を開始していない、とこの関係者は語った。

<失敗の痛手>

韓国メーカーは、これまでの経験に基づく慎重姿勢が過度な希望を抑えているものの、中国EV市場の急速な拡大によって、自社製品に対する十分な需要が生まれることを期待している。

LG化学、サムスンSDIとも、中国に同社最初のEV用バッテリー製造工場を開設したのは2015年10月だ。どちらも、数億ドル規模の投資は回収できるものだと当て込んでいた。

たとえば、サッカー場3面分の広さを持つLG化学の南京工場は、中韓両国政府の当局者が参列する中で、華々しいオープニングを飾った。バッテリー製造企業として世界首位を狙うと同社は豪語していた。

だがその翌月、MIITによる推奨リストが発表され、主に韓国企業が生産していた種類のバス向けバッテリーに対する補助金が2016年1月に中止された。

韓国企業を事実上、中国市場から締め出すこのような動きがあっただけに、中国政府の貿易・産業政策を巡る幅広い懸念が、米中政府が繰り広げる貿易紛争の軸になるのも無理はない。

「中国は韓国ライバル企業による参入を防ぐために補助金を用いて、中国企業が技術面で追いつく時間を稼いできた」と韓国電池産業協会でディレクターを務めるKoo Hoe-jin氏は語る。

EV用バッテリーに関する戦略についてMIITにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

また、韓国企業に手痛い打撃を与えたのは、2016年以来140%近く急騰したコバルト価格だ。LG化学とサムスンSDIによれば、この価格急騰によって、バッテリー価格を原材料価格に連動させるための契約見直しを余儀なくされたという。

対照的に、中国の競合企業が受けた打撃は、はるかに小さかった。世界のコバルト精錬能力の半分を中国が占めており、世界のコバルトサプライチェーンに対する影響力を強めてきたからである。

中国のCATLはこうした要因にも助けられて、業界首位として長年君臨するパナソニックと肩を並べる水準にまで成長した。同社は最近、サプライヤーの多角化を図る自動車メーカーとの契約も獲得している。サムスンSDIの主要顧客であるBMWとの契約もその一例だ。

SNEリサーチによれば、CATLと、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の出資を受けるBYDとを合わせた世界市場のシェアは、10月までの1年間で3分の1にまで拡大した。2015年は18.2%だった。一方、同時期のLG化学とサムスンSDIを合わせたシェアは9.6%で、その伸びは1ポイントにも満たなかった。

パナソニックとは異なり、韓国企業は専属顧客を頼りにできない。韓国の主力自動車メーカーである現代自動車(005380.KS)は、バッテリー駆動のEVよりも燃料電池車に力を注いでいる。

「韓国企業は、日中のライバル企業に挟まれてサンドイッチになっている。韓国企業のポジショニングが曖昧だ」。韓国の瑞靖大学校で教授を務めるPark Chul Wan氏はそう指摘した。

(翻訳:エァクレーレン)

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