July 4, 2018 / 7:23 AM / 12 days ago

コラム:銀行のAT1債、「連動ETF」が新たな脅威に

[ロンドン 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 銀行が発行する偶発転換社債など「その他Tier1債」(AT1債)に分類される債券について、その目的を破壊しかねない新たな要素が生まれつつある。

 7月2日、銀行が発行する偶発転換社債など「その他Tier1債」(AT1債)に分類される債券について、その目的を破壊しかねない新たな要素が生まれつつある。写真は各国紙幣。2017年撮影(2018年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

それはAT1債と連動した上場投資信託(ETF)の登場だ。両者の組み合わせは、AT1債の投資家層を広げるとともに、価格変動をより大きくしてしまう。

最近になってウィズダムツリー(WETF.O)とインベスコが相次いでAT1債と連動したETFを立ち上げた。

AT1債は金融危機時に銀行の資本となるもので、自己資本が目減りしたり大きな損失を被った際に利払いが止まり、極端な場合は償却によって株式に転換される。

個人投資家や専門知識の少ない投資家は、そうした複雑な性質や規制当局の意向もあって、AT1債を買うのは難しいが、ETFに組み込まれれば購入者の範囲は広がり、中にはあまり詳しく理解しない人々も含まれるだろう。

ETFの機能の特徴からすると、AT1債の取引も拡大するかもしれない。ETFは売買する投資家があまりに多くなると、価格は原資産の価値からかい離する。そこでトレーダーは原資産を購入してETFの新たな受益証券と交換したり、その逆の取引に動く。このメカニズムは、大規模なポジションを構築することを目指す投資家にとってETFを魅力的な商品にしてくれる。

問題はAT1債の値動きが相当激しいことにある。

緊張状態において、インカム収入を得る投資家はAT1債を売却しがちだ。ドイツ銀行(DBKGn.DE)の財務状況に懸念が生じた2016年2月に同行のAT1債の価格は下落し、IHSマークイットによると、AT1債市場全体の価値が10%強も減少した。

ETFによってそのボラティリティが高まり、市場環境が良好な際には買い、反対の場面では売りが加速してもおかしくない。そして危機が起きれば、トレーダーは原資産とETFの受益証券の交換から手を引き、価格が一層乱高下する可能性がある。

AT1債は本来、金融システムをより安定化するために設計された。ところが結局は、かえって不安定さをもたらす要素になる危険性が出てきている。

●背景となるニュース

・いくつかのETF業者は、銀行が発行するAT1債に連動する商品を立ち上げた。

・AT1債は、発行した銀行の普通株等Tier1比率が予め設定した水準を割り込んだ場合、償却されて株式に転換される。欧州ではAT1債のほとんどが、銀行の自己資本規制対応目的で発行されており、条件次第で利払いを停止することもある。

・インベスコは6月25日、欧州系銀行が発行したAT1債を原資産とするETFを設立。それに先立って5月にはウィズダムツリーが同様のETFを立ち上げた。

・インベスコのETFは、iボックスUSDコンティンジェント・コンバーチブル・リキッド先進国市場AT1債指数に連動している。同指数は52種類のAT1債を組み入れており、トップ3の発行体はHSBC、UBS、ソシエテ・ジェネラルだ。構成AT1債の平均的な格付けはBB、利回りは6.3%。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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