[東京 7日 ロイター] - 名古屋銀行(8522.T)の藤原一朗頭取は、ロイターのインタビューに応じ、米中貿易摩擦の影響について、東海地方の自動車産業への影響は大きくないとの見通しを示した。名古屋はメガバンク、地方銀行、信用金庫がしのぎを削る「金融激戦区」だが、他の金融機関との経営統合は全く考えず、中小企業の課題解決に取り組む中で地元の金融機関ならではのサービスを追求する方針を示した。
6月日銀短観では、東海地方の業種別先行き判断DIは、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]をめぐる問題を受けて電子機器が大きく落ち込む一方、自動車産業は減少幅が小さかった。藤原頭取は自動車産業について「私としてはそれほど心配していない」と述べた。「中国は国土が広いので自動車の需要は伸び続ける」と指摘した。
中小企業の設備投資については、2─3年スパンでは様子見ムードが出る可能性があるものの、「5─10年という長期的な軸で見ると、絶対に中小企業もついていかないといけない」とし、長期的には次世代型自動車を見据えた設備投資が見込まれるとした。
低金利の長期化が金融機関の収益に重しとなっている。藤原頭取は、日銀がマイナス金利を深掘りした場合「副作用の影響が大きくなる」と話し、日銀をけん制した。「日銀としてはプラスとマイナスを見極めるということだろうが、われわれとしてはあまりプラス効果はない」と述べた。
藤原頭取は「名古屋に限らず、銀行のビジネスモデルが厳しくなっている」と危機感を募らせる。新たなビジネスモデルの構築が急務だとし、名古屋銀としては販路拡大や設備投資など中小企業が抱える課題に取り組むなかで、愛知県を地盤とする銀行の強みを生かしたサービスを提供していくと話した。
名古屋銀は商談会やセミナーを積極的に開催している。また、中小企業の補助金申請を積極的に支援し、中小企業庁の「ものづくり」補助金の採択件数では全国2位となっている。
*このインタビューは6日に名古屋で行われました。
和田崇彦、木原麗花