October 22, 2018 / 9:46 AM / a month ago

景気変動やリスク踏まえた引当・金利設定を、副作用は累積=日銀

[東京 22日 ロイター] - 日銀は22日、金融システムの現状と展望をまとめた「金融システムリポート」を公表した。激しい貸し出し競争や超低金利環境の長期化を背景に、地域金融機関を中心に相対的に信用度の低い「ミドルリスク企業」や不動産向けなどの貸し出しが積極化しており、金融機関に対して先行きの経済変化を念頭に置いた引き当てや、リスクに応じた金利設定を促した。日本の金融システムについては「安定性を維持している」との判断を引き続き示した。

日銀では金融活動の「過熱」や「停滞」を表す指標を、貸し出しや資産価格などを基に「金融ギャップ」として公表しているが、近年は過熱方向を示すプラス局面が長期化しており、水準も0.5%程度とバブル経済崩壊以降で最高となっている。

日銀は、金融ギャップの動向が実体経済(需給ギャップ)に及ぼす影響について、先行き1年間という短期では「緩和的な資金調達環境が民間部門の支出活動を下支えし、経済の下振れリスクを抑制する」と指摘。

一方、先行き3年間をみると金融面の拡張が「むしろバランスシートの調整圧力に働く」とし、経済に負のショックが発生した場合は「(需給ギャップの)下押し圧力を強める方向に作用する」という。

こうした試算を踏まえ、リポートでは先行きの景気が下振れした場合、金融機関が十分な耐性を備えているかを分析した。

現状では国際統一基準行、国内基準行ともに、それぞれの規制水準を大きく上回る自己資本比率を確保しているが、地方銀行や信用金庫を中心とした地域金融機関は「リスクアセットに見合ったリターンを必ずしも得ていないことから、自己資本比率は緩やかな低下傾向にある」という。

内外の金融経済情勢がリーマン・ショック並みに悪化することを想定したストレステストでは、信用コストの拡大やコア業務純益の減少、有価証券関係損益の減少などに伴って自己資本比率が相応に低下するものの、引き続き「規制水準を上回る自己資本を確保できる」結果となった。

もっとも、過去の同リポートで実施した同様のストレステストと比較すると、「当期純利益や自己資本比率が徐々に下振れている」とされ、低金利の長期化などが金融機関収益に及ぼしている影響が時間の経過とともに累積している実情が浮かび上がる。

地域の人口や企業数の減少を背景に金融機関間の貸し出し競争の激化や、超低金利環境の長期化を背景に、地域金融機関は相対的に信用度の低い「ミドルリスク企業」や不動産向けの貸し出し、海外の有価証券投資などを拡大している。

特にミドルリスク企業向け貸し出しは、景気悪化時に通常先に比べて「デフォルト率が上昇しやすい」。このうち低い金利を設定している「低採算先」が増加していることもあり、日銀では、ショックの発生時に「金融面から実体経済への下押し圧力が強まる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

伊藤純夫

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