February 26, 2018 / 7:19 AM / 9 months ago

コラム:バフェット氏を待ちかまえる世代交代の落とし穴

[ニューヨーク 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ほとんどの大手投資マネジャーは、公の場で会社社長の「買収欲」をティーンエージャーの「性欲」に例えることはしないだろう。

 2月24日、ほとんどの大手投資マネジャーは、公の場で会社社長の「買収欲」をティーンエージャーの「性欲」に例えることはしないだろう。写真はウォーレン・バフェット氏。ネブラスカ州オマハで2015年5月撮影(2018年 ロイター/Rick Wilking)

だが著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、型通りの大手投資マネジャーではない。だからこそ、同氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイ(BRKa.N)は、この52年中36年で市場を上回る成果を上げてきた。

バフェット氏は今も潤沢なリターンを上げ、ファンが大好きな気取らない助言を提供している。だが、もし世代交代が進んでいるとするなら、彼は取って代わられる側に立たされている。

バークシャーは24日、傘下の保険部門が昨年のハリケーン被害により、課税前の保険引受損失を計上したと発表した。こうした損失の計上はこの14年で初めてだった。

だが他の投資先企業は、課税前利益を5%上昇させる上々の業績だった。株式市場の好況により、同社の保有株式の価値は1220億ドル(約13兆円)から1710億ドルに増加した。だが、バリュエーションの高騰を受け、大規模なディールは「性に目覚めたばかりのティーンエージャー」に任せたと、バフェット氏は今年の株主宛の手紙で説明している。

「オマハの賢人」と呼ばれるバフェット氏のこうした今年の見解は、多くの面でこれまでと同じ内容だった。それは、この5000億ドルの複合投資会社に投資する人が望むものでもある。会計上のからくりは面倒なもので、米国の経済的な土壌は「肥沃(ひよく)」である。

だが外の世界では、何かが変わってしまった。

米資産運用大手ブラックロック(BLK.N)のラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)や、同バンガードのビル・マクナブCEOの両者は、新たな投資へのアプローチを呼びかけている。たとえリターンに悪影響を与える結果が予想されても、投資先企業に良い行動を取って社会の分断を癒やす取り組みを要請しようというものだ。

バフェット氏は毎年恒例の手紙の中で、その方向性は示していない。

良き行いは、バフェット氏の世界観にすでに織り込み済みということかも知れない。株主に害を与える企業は、長期的な優良投資先にはならないだろう。

例えば、最近の米税制改革の恩恵で得た290億ドルの増収分を除いた同社収益の13%を稼ぐバークシャー・ハサウェイ・エナジーは、再生可能エネルギーに注力している。これは、ゼネラル・エレクトリック(GE.N)が見事に転換に失敗した分野だ。また、バークシャー・ハサウェイ・エナジーが定めた行動規範は、差別やハラスメント防止の優れた例でもある。

だが、そのほかでは、こんにち「環境・社会・ガバナンス(ESG)」と呼ばれる概念に関するバークシャーの姿勢はあいまいだ。

バークシャーが253億ドルを投資する米食品大手クラフト・ハインツ<KHC .O>は、コミュニティーの利益にならない容赦ないコストカットで知られる。またバフェット氏はかつて、中毒性があり生産コストが格安なタバコ業界の構造を称賛したこともある。ただその時は、タバコ会社一社を丸ごと所有することはないとも述べて、発言をやや後退させている。

バークシャーのライバル投資会社のESG対応姿勢のほとんどは、公平に見て、まさにそれだ。ブラックロックとバンガードは、さまざまな業界が同時並行的に上昇せず、パッシブ運用商品にファンド資金を集めるのが難しくなる時代に備えている。

長期にわたるアクティブで明確な実績を持つバフェット氏には、マーケティングによる宣伝効果は必要ない。一部のヘッジファンドが市場予想を上回るパフォーマンスを達成できなかった10年越しの賭けに同氏が勝利し、賭けの対象をインフレ率に連動した米国債からバークシャー株に変えたために報酬が倍以上になったという事実だけで十分だろう。

バフェット氏の後継者と目されるアジット・ジェイン氏とグレッグ・アベル氏の2人は、先月実質的な同社マネジャーに指名されたが、バフェット氏のような威光はまだないことが落とし穴だろう。

もちろん、ミレニアル世代がその前の世代と同じぐらい収益性重視になる可能性はある。その場合、バフェット氏の長期的な価値への集中と、投資家が聞きたがっていることではなく自分が考えていることを発言する傾向は、正しいものだ。

いずれにしても、ベビーブーマーたちは今年も5月にバフェット氏の故郷ネブラスカ州オマハで開かれる毎年恒例の大会に、バフェット氏本人を見に押し寄せるだろう。

だが、彼の後継者たちが、ベビーブーマーの子ども世代を同じように簡単に引きつけられるかは、さほど確かではない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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